アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

原泉アートデイズ!2023

原泉アートプロジェクト

実施期間
2023年10月12日~2023年11月26日

活動の目的

原泉アートデイズ!は、HARAIZUMI AIR(原泉アーティスト・イン・レジデンス)の成果発表の場としての展覧会である。2023年度は、HARAIZUMI AIRを通して、以下の2点を目的に活動した。 【①地域との連携・交流を発信】HARAIZUMI AIRのなかで、地域と国内アーティストや海外アーティスト、国内(近隣)アーティストと海外アーティストなどの連携や交流を促し、さまざまな場面において、交流の現場を紹介。 【②「原泉=アート表現・活動が日常にある地」というイメージを根付かせる。】地域全体を会場とし、2018年より毎年HARAIZUMI AIRを通して展覧会を開催してきた。その結果、地域住民にとって、アート活動は日常の風景である。こうしたイメージを年間通して発信し、地域外の人々にとっても当たり前の存在として、地域の中の選択肢の一つとして根付いていくようなプロセスの年とする。更に「原泉アートパーク化構想」を掲げ、地域全体でアートが楽しめる場として開放するための土台作りを行う。

活動の内容

①海外アーティストの制作活動を通した連携や交流機会創出。
・原泉内の子どもたちに、制作に参加してもらい、制作を通して中国のこと、アーティスト活動のことを発信。地元PTAと連携を行い、子どもたちの夏休みのアートワークショップの機会とした。(Artist: 施琦/中国)
・地元企業(地元工務店、森林組合)の力を借りて、野外常設作品となる彫刻を設置。この作品は地域内の神社に設置され、地域住民だけでなく、地域の企業等に知ってもらう機会となった。(Artist: 柯明/中国)
・AIR参加の総括として、施琦と王墨石は、作品制作や原泉での体験を発表するアーティストトークを行い、作品制作や原泉での体験を地域住民や関係者等に改めて広めた。
②年間を通したアート活動の推進、発信。月一サロンの開催。
・4月から11月の原泉アートデイズ!開催までのHARAIZUMI AIR実施期間中に、さまざまなアート活動等を推進し、アート活動が日常にあることを発信。その一環として、月に一回サロンを開催し、定期的に気軽に一般の方が立ち寄り話せる機会を創出した。

参加作家、参加人数

・参加アーティスト 11組
Robin Owings、井口貴夫、松島家(誠・礼・花)、西村卓、和田峻成、
作戦(野々上聡人、秋山佑太、有園絵夢、弓塲勇作)、HABURI、
明石雄、施琦(SHI QI)、王墨石(MOSHI WANG)、柯明(KE MING) 
・来場者数 のべ1000名

他機関との連携

・2018年以降連携してきた協賛団体、サポーター、協力団体と、連携体制を継続。
・今年度は、静岡文化芸術大学や掛川市と連携を行い、展覧会開催後に、取り組みやビジョンを発信するトークイベント・特別講義を実施。
・「東アジア文化都市2023静岡県」の一環として、静岡県と連携し、中国人アーティストの滞在制作の受け入れと国際交流を行った。
・民間企業と連携し、掛川市に提案するアクションプランの一つとして、「アートのまちづくり 原泉」(「原泉アートパーク化構想」)を掲げてもらい、掛川市長をはじめ市役所内の関係機関に発表した。

活動の効果

①海外アーティストの存在により、地域関係者の協力体制と活動への理解が深まった。また関係機関、海外アーティスト、当団体のそれぞれの発信が、地域やお互いにとってメリットになる連携となった。
②月一回、一般の方や関係者が集まる機会を創出。日常的にHARAIZUMI AIRと外部がつながる場となった。滞在アーティストによるトークやプロジェクトの研修発表会の他、哲学者を招いた哲学サロンなど、新しいテーマを設定することにより、これまでとは異なる層に興味を持ってもらえる機会となった。

活動の独自性

コロナ以降の海外アーティストの受け入れと、団体独自のネットワーク形成は、今後、過疎化が進む中山間地にありながら、地域におけるアート活動がグローバルに広がっていける可能性を秘めている。海外アーティストの存在によって、近隣アーティストにとっても学びの機会となっており、交流や新しい発見を求めて、より一層アーティストたちが集まる場が形成されると考えている。

総括

今後、地域全体として「原泉=アート表現・活動が日常にある地」を表現していくにあたり、「原泉アートパーク化構想」といったビジョンを、海外アーティストをはじめ、関係者、行政機関、大学、民間企業などに知っていただける機会をあらゆる手法で実現できたと言える。一方で、明確な枠組みを定めておらず、ビジョンを広く一般に発表するためには多くのリソースが不足しているなどの課題が見つかり、まさにプロセスの年となった。

  • 中国人アーティスト2名による一般・地域住民向けのアーティストトーク後の記念写真

  • 中国人アーティストが地元企業の協力を得て常設作品の設置をしている様子

  • 月一サロンにて、哲学者を招いて行った哲学サロンの様子