活動の目的
⼗和⽥湖を、“観光地”ではなく⼤⾃然とともにある“⽂化醸成地”にする。
①⼗和⽥湖畔がこの⼟地らしく続いていくための⾃然と⼈間の在り⽅と上質な⽇常を考え続ける。
②⽇々の美しい⾃然に呼応するような、新しい視座をもたらすものとしてアートを挿⼊し、⼈々が新たに⼗和⽥湖の楽しみ⽅を発⾒できるような仕掛けを創り出す。
活動の内容
数年間の⽂化醸成において重要なのはリサーチの深さと表現⽅法の相関性なのではないかという仮説のもと、昨年度も参加いただいた中⼭晃⼦⽒を招聘し、引き続き2年目の作品づくりに取り組んでいただいた。また、中⼭晃⼦⽒がキュレーターの役割を果たし、「未来に託せそうな、その⼈の視線をとおして湖畔を感じてみたい」と思えるアーティストとして、⼭形県を拠点に活動するアーティスト・吉⽥勝信⽒に参画いただいた。地域の素材を原料に変える彼らの作品はまた新しい視点を地域にもたらしている。
アート部⾨以外では、以前からの知⼈である講談師・⽥辺銀冶⽒に⼗和⽥湖の歴史⽂化をリサーチの上、新たな創作講談を制作いただき、地域の方に披露いただいた。
参加作家、参加人数
中山晃子氏
吉勝制作所(吉田勝信、稲葉鮎子)
田辺銀冶(サポート 梁川剛)
他機関との連携
環境省十和田八幡平国立公園事務所
活動の効果
地域の人が、こんなことがあるのか、と驚くのが何よりも成果ではないかと思う。アーティストがもたらす専門家としての深い視座が、ここで暮らし、住んでいる人の視点を深くしていく様子が見てとれる。また、作家の制作途中から新たに新しい地域体験型のアクティビティが生まれそうである。ミッションである、文化醸成地として、アーティストが残した片鱗を地域が受け取り、形にし、もっというと商品化していく。そんなきっかけになる気配を感じる2点目だった。また、中山晃子氏の2年目の作品は十和田市現代美術館の館長の鷲田さんの言葉を借りると「より深く、でもわかりやすくなった」という評価を頂いている。同様なコメントを作品を見た方々にも言われているが、「でも不思議」という、何か心に残るようなきっかけになっていると感じる。
活動の独自性
十和田湖にしかない素材を利用し、十和田湖で表現し、外の人よりも地域の人がその作品に感動する視点・視座をいただいた。また、今年はF"UNKASAIとしては、例年通りとわだこマルシェや、食事のイベントも実施している。景勝地として名高い十和田湖ではあるが、一方で人口200人、かつ集落の3割が廃屋である。ただ、F"UNKASAIを通して、十和田湖を体感する人は軒並み、「十和田湖の良さ」の一端に触れて帰る、そんな時間になっている。
総括
2年目ということもあり、今年は1年目のアーティストさんの作品も非常に興味深いものになり、また、二人目のリレー形式のアーティストさんの作品はランドアートへの走りとしてのプロトタイプが生まれている。今後も小さいながらも、続けていきたいと思えるF"UNKASAIの2年目だった。
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中山晃子氏によるアートピース
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中山晃子氏による十和田湖の砂を扱った動画作品
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吉勝制作所による雪凸版のプロトタイプ