活動の目的
特別支援学級に在籍している児童生徒が,自立活動の学習の一環として「TOMO発信!海洋プロジェクト」を立ち上げ,学習を進めている。目的は主に2つある。
①地元の海で失われつつある産業の保全やSDGsの観点から,児童生徒が主体的に様々な取り組みを考え実践を行っていくことで,海の豊かさを守り,将来的な発展継続に寄与していくこと。
②学習活動全体を通して,他者と協同する力,コミュニケーション能力,郷土愛などの育成,向上を図り,心身の調和的発達を促すこと。
活動の経過
活動の経過は,次の5点に分けられる。
①鞆の浦漁業協同組合との連携
実際にわかめの植え付け,刈り取り体験をさせてもらい,その中で「わかめオーナー制度」などで産業の保全についての取り組みを知るきっかけとなった。
②課題発見,改善に向けての取り組み
③(有)クラタ食品や外部講師との連携
児童生徒達が「自分たちにも何かできることはないだろうか」「わかめを使った製品(ラーメン)を作って活動をPRできないだろうか」と考え,その実現に向けて活動を開始し,児童生徒の思いに賛同して下さった地元企業に協力を仰ぎながら「わかめラーメン」を完成させた。児童生徒は試作の段階から関わり,わかめの乾燥や粉末化,パッケージのデザイン考案など,できる範囲で協力していった。
④販売に向けてのPR活動,販売
地元で開催されている「鞆軽トラ市」で販売することになり,児童生徒はPRのためにポスターを作って地元の施設を回るなどした。「鞆軽トラ市」での販売も実際に児童使徒が主体的に行い,PR効果もあり予定していた食数を完売することができた。
⑤活動の振り返り,まとめ,次年度に向けて
効果として表れているのかを自分たちで分析し,成果と改善点をまとめた。そこから次年度に向けてどのように継続,発展させていくかを話し合った。
活動の成果
・鞆の浦漁業協同組合,(有)クラタ食品と連携した本活動の様子や,ラーメン販売に向けて準備の様子が,中国新聞,山陽新聞で紹介された。本活動や,本活動をはじめるきっかけとなった漁業協同組合の産業保全に対する取り組みなどを広く知ってもらうきっかけとなった。ラーメン販売を行った際も,新聞記事を見て活動に興味をもち,ラーメンを購入しに来て下さった方もいた。
・「鞆軽トラ市」でラーメン販売を行った際のアンケート調査によると,購入者の513%が鞆町以外(福山市他地域広島県内愛媛県)の人だった。地元の人以外にも印象を与えるきっかけとなった。
・児童生徒は学習の過程で「もう一度地元の海のことを知りたい」ということから香川大学長谷川教授を講師として招き講義を聞いたりラーメン販売をPRするポスター制作の際プロのデザイナーに効果的なポスターの書き方を指導してもらったりするなどいろいろな方と触れ合い知識や学習を深めることができた。
・「鞆軽トラ市」では児童生徒も実際に店頭に立ち金額の受け渡しや計算お客の呼び込み購入者へのお礼など学校で学んでいることを実践的に生かす場とすることができた。
・児童生徒に学習後に行ったアンケート結果によると「鞆のわかめのよさをいろんな人に広めることができた」「友達と話し合いながら学習を進めることができた」「ラーメン販売や活動を通して色々な人と関わることができた」がいずれも肯定的評価85%以上だった。学習目的であった「他者と協同する力」「コミュニケーション能力」の育成につなげていくことができた。
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活動についての話し合い
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ラーメン試作・改良
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鞆軽トラ市販売のブース