活動の目的
2024年の⼩林和作没後50周年を前に、⼩林和作旧居を改修し、和作研究会の継続開催と実験的な仮活用を行うことで、新たな地域の⽂化活動・交流・研究拠点としての整備と方向性の確定を行う。旧⼩野産婦⼈科では、建物裏のギャラリースペース「⽡全房」の調査・整備を進め、⼩野鐡之助関連のアーカイブ展⽰を開催するなど具体的活⽤を行うことで、今後の⽂化の発信拠点の一つとしての活動を開始する。また、⼩林和作旧居の解体ストップと活⽤の模索を起点にスタートした「瀬⼾際建築保全事業」を開始し、失われようとしている建物を保全すると同時に、尾道旧市街界隈の⽂化的記憶の⾵化に抗い、次世代への継承をハード・ソフトの両輪で推進する。
活動の経過
年度を通じて和作研究会を実施し、和作旧居、⽡全房の整備・資料整理を行った。建築塾を2回開催。再生された旧小野産婦人科医など尾道旧市街の近代建築を学ぶ「近代建築編」(5/21)と6月建築塾2尾道旧市街西側の失われた建築をめぐる「失建築編」を実施(6/25)。旧小野産婦人科医院ではオノツテのタイル貼りワークショップを開催(6/21)。和作旧居の仮活用の一環として、5月には国内アーティスト(5/16~5/30)を6月には韓国人アーティスト・キュレーターを招聘し(6/2~6/20)滞在制作を実施。活動報告のトークイベント(各5/29、6/19)も行った。関連して小野鐡之助を知る関係者ヒアリングも実施。7月には小林和作旧居の腐朽箇所の解体と再生作業開始し、今後の活用に向けての大規模整備を行った。8月には地域の小学生と高校生を対象とした絵画教室を開催(8/123)。11月には第3回和作ウィークを開催(11/3451112)し、和作旧居では森谷南人子展を、⽡全房では⼩野鐡之助展を開催、高橋家でも横谷奈歩のインスタレーションを公開した。関連してゲスト講師によるレクチャーとツアー、地域の大学の茶道部と連携してお茶会も開催した。11月から12月にかけてイギリス人作家の滞在制作を実施し、交流会も開催した(11/15~12/1)。その後台所の大改修工事の準備を行った。
活動の成果
和作研究会で、資料整理を行うと同時に、展覧会やイベントの構想や準備、裏庭整備などを推進することができた。和作旧居では多彩な仮活用企画を実施し、国内外のアーティストによる滞在制作と活動成果発表を行ってもらったことで、今後の和作旧居の活用法の具体化や施設の改善点も発見でき、今後の活動の計画立案に役立った。絵画教室企画も盛況で、地域の小学生や高校生との交流を図ることができ、有意義であったので毎年の恒例企画として実施する計画である。
旧⼩野産婦⼈科裏の⽡全房を整備し、残されていた⼩野鐡之助関連の遺留品を調査し、その成果を⽡全房で展⽰することができた。この展⽰を皮切りに⽡全房を新たな地域の⽂化発信拠点とすることができた。
第3回和作ウィークでは、小林和作周辺の人物に焦点を当てた展覧会、トーク、ツアー、大学と連携した茶会によって多くの来訪者(373人)を迎えることができた。数多くの異なる世代の来訪者や、和作の出生地である山口県秋穂からのゲストも迎えることができた。
改修⼯事により⼩林和作旧居の今後の活⽤につながるハード面での準備が大幅に進んだのも大きな成果であった。
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尾道建築塾では尾道旧市街西側エリアの失われた建築を解説付きで見学して回った
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韓国人アーティストの小林和作旧居における滞在制作の成果報告会
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第3回和作ウィーク時に開催した瓦全房における小野鐡之助展