アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

ウォールアートフェスティバルふくしまin猪苗代2024

猪苗代アートプロジェクト実行委員会

実施期間
2024年5月7日~2025年2月28日

活動の目的

2024年度までの6年間の取り組みを⼟台にアートを媒介に⼦どもたちが地域を⾒つめ、それぞれの中に吸収し、表現する機会を⼀層拡充する。また、地域のなかのアートの存在感を高め、地域と協働して作り上げるイベントへと昇華させていく。

活動の内容

(1)2024年度、町の⼩学校が6校から2校へ統廃合された。最終年の2023年は統合校ごとにアートワークショップを行い、統合の象徴として新校への期待を集めた作品となり、各々飾られることとなった。小学校統合元年となる2024年度は、環境が変わった子どもたちを地域としてフォローするため、アートを媒介として子どもたちの心に響く事業を行う。①小学生4~6年全児童を対象に写真家、野口勝宏氏が制作した猪苗代町の自然の映像を視聴する機会を設け、故郷の自然が織りなす営みを視覚と聴覚で感じる時間を作った。②出前ワークショップ アートが描かれた図工室を会場に水川千春氏を講師に迎えた出前ワークショップを行う。表現の楽しさ、枠に捕らわれない表現などをアーティスト直々に習い、心を開放する時間を作る。
(2)企画展示及び作品制作 「まざりあう」というテーマにした企画展を開催。招聘アーティストの水川千春氏による「いつかの磐梯山」が初公開された。この作品は、磐梯山と猪苗代湖という火と水のエネルギーの強い場所を感じた水川氏が、様々な種類の水を使い分けて描いた作品によって、この地に宿る畏敬なる火と水の力が表現されることとなった。会期中、水川氏によるライブパフォーマンスも実施され、特殊な技法に来場者が見入っていた。

参加作家、参加人数

野口勝宏(写真家)、soyoka(ピアニスト)、水川千春(美術家)、安土早紀子(歌手)、トゥシャール&マユール・ワィエダ(ワルリ画家)

映像鑑賞会:350人
アートワークショップ:22人
企画展:314人

他機関との連携

共催:猪苗代町教育委員会
後援:猪苗代町

会期中、NPO法人猪苗代研究所の企画で「いなわしろ町民大学」も開催されるなど、他機関との連携によって、様々な層にアートの魅力を発信。

活動の効果

➀ 映像鑑賞会 猪苗代の四季 水のある光景」とピアノの調べ
猪苗代出身の写真家、野口勝宏氏が制作した映像の上映会。 統合した2つの小学校の児童が一堂に会して同じ映像を見るという鑑賞会。故郷の美しい風景が次々に映し出されると、子どもたちは時に歓声あげながら映像に見入っていた。 地元の大先輩である野口勝宏氏が子どもたちに伝えた 夢」のメッセージも胸に響いたようで、故郷を見直す貴重な機会となっていた。

② アートワークショップの開催
4 月から廃校となった学校を会場として、アーティスト水川千春氏によるアートワークショップを開催。猪苗代湖と海の水で描き、火であぶるという水川氏の作品作りの手法に挑戦した子どもたちは、思い思いに作品作りを楽しんでいた。
廃校となった場所が活用できたこと、また、10月からの企画展に向けての足掛かりとして有益な時間となった。

③ 企画展 ここから、まざりあう」の実施
はじまりの美術館で開催する展覧会では、 まざりあう」をキーワードに企画展を実施。今年の招聘アーティストである水川千春氏は、8月の来町時に猪苗代の様々な場所(猪苗代湖、土田堰、長瀬川、中ノ沢温泉、大塩温泉)で採取した水を使用して制作した作品 いつかの磐梯山」を初公開展示し、多くの来場者の注目を集めた。
まざりあう」というテーマにふさわしく、磐梯山と猪苗代湖という火と水のエネルギ
ーの強い場所を感じた水川氏が、様々な種類の水を使い分けて描いた作品によって、この
地に宿る畏敬なる火と水の力が表現されることとなった。会期中、水川氏によるライブパ
フォーマンスも実施され、特殊な技法に来場者が見入っていた。

活動の独自性

「学校を舞台にした芸術祭」という点がもっとも独自性が高い。この7年間で子どもたちは大きく成長しているが、その傍らにアートがあり、アーティストの思いが詰まった作品が一つずつ生まれてきた。いつか子どもたちがこの町を巣立ったとしても、時には帰りを待ち、時には励まし、時には懐かしさの象徴として心に残っていくものと考えている。

総括

この学校を舞台にした芸術祭は、学校の統廃合が背景にあって立ち上がったプロジェクトである。2024年4月で多くの学校が廃校となり、作品だけが学校の壁に残される形になった今期は、廃校後でもアート作品があることで、鑑賞会やアートワークショップを開催するなど、新たな価値を町内外に示すことにつながったものと感じる。
また、7年間重ねた実績により多くの作品が町内に点在することとなったが、一般公開が行われていないために価値が高まり、年に1度の鑑賞会を待ち望む声も多くなるなど、地域にとっても存在感を増してきている。アートによる地域おこしの土台が固まりつつあり、今後も地域と協働した芸術祭を継続していく機運が高まってきた。

  • 映像鑑賞会 猪苗代の四季 水のある光景」とピアノの調べ

  • アーティスト水川千春氏によるアートワーク ショップ

  • 企画展「 ここから、まざりあう」とライブパフォーマンス