活動の目的
紀南地方(和歌山県南部)を代表する産物である『みかん』を中心に据えたプロジェクト。農家の方々も自然の恵みを現出させる表現者=アーティストであると捉え、現代アーティストやキュレーター、デザイナーや方々を交えた、肩書に捉われない有機的な集団(コレクティヴ)で、地域で可視化・言語化されていない価値を表現し、世界へ発信する。
2022年から継続的に活動している『みかんコレクティヴ』を通して、アートを媒介にしながら、文化人類学や哲学、神話学など様々な視点から『みかん』を捉えなおし、地域⽂化を維持・発展させるため、地域の人々との協働を続けている。
活動の内容
みかんコレクティヴ2024では、展覧会やワークショップ、オンライントークや収穫体験、「公園のような農園をつくる」ことを目指す長期プロジェクト『コモンズ農園』の推進などを行った。
9月に実施した『いごくたまる、またいごく』展では、和歌山が産んだ博物学者・南方熊楠や、彼が生涯を通して研究した粘菌をテーマに、柑橘畑から生まれた彫刻作品を始めとする多様な作品を展示。ワークショップやトークなど、のべ10の関連イベントも行った。
また、かねてより園地を探していたコモンズ農園プロジェクトの候補地がついに見つかり、3月には苗木の里親などの関係者を招いた農地見学会と、不要な樹木の伐採や草刈りなどの開墾作業も実施。プロジェクトが新たなフェーズに入った。
参加作家、参加人数
『いごくたまる、またいごく』展 実績
会場数 :10会場
参加作家数:27名
展示作品数:33作品
参加人数 :3000名以上
※アドベンチャーワールド、三段壁洞窟の一般来場者数は除く
他機関との連携
協 賛 :
アドベンチャーワールド、株式会社カナセ、観光開発株式会社 三段壁洞窟、株式会社紀陽銀行 白浜支店、株式会社高垣工務店、一般社団法人 トーワ荘、株式会社Trafic Confort、株式会社濱田、株式会社モリカワ、株式会社山長商店、やぶもと設備、龍神梅(有限会社自然食品センター)、木村 剛大、多田 稔子、玉置久嗣、Bar Oct.
後 援 :
和歌山県、田辺市、白浜町、田辺市教育委員会、株式会社 紀伊民報、FM TANABE 株式会社
協 力 (五十音順):
アドベンチャーワールド、あとりえもじけハウス、堅田保育園、堅田第二保育園、川久ミュージアム、きたがわ梅園、キノクマ座、霧の里たかはら、K型チョコレートカンパニー、小山登美夫ギャラリー、Colographical、三段壁洞窟、SHIOGORI CAMP 実行委員会、Shinju、SOUZOU、NPO法人ZESDA、田辺・西牟婁美育研究会、多屋由紀子、十秋園、トーワ荘、尖農園、株式会社 南紀白浜エアポート、日動コンテンポラリーアート、日本聖公会田辺学園シオン幼稚園、Breakfast Gallery、丸義精肉店、みかんソサエティー、公益財団法人 南方熊楠記念館、南方熊楠顕彰会、アウラ現代藝術振興財団、Artport株式会社、coamu creative
活動の効果
今年は公共の資料館をはじめ、テーマパークや高級ホテル、世界遺産の神社境内、古民家カフェ、洞窟、民家の壁などに展示を行った。
これまで同様に、美術館やギャラリーではない場所で展覧会を実施していることが、鑑賞者のひとつの楽しみになっていると同時に、過去の我々の展覧会がきっかけで展示やアートプロジェクトを実施する会場も出てきており、地域にアートが根付く一助になれているのではないかと感じる。
また、出展作家の作品制作の過程で、地域の小学校や保育園で出張体験教室を行い、子どもたちと共に作品を制作した。このような教育機関への展開は今後も積極的に取り組んでいきたい。
紀南アートウィークのHPやSNSは日英の二言語発信を行っているが、オランダのメディアアーティストが南方熊楠についての我々の過去の対談の英訳を引用しながら政府助成を取得して紀南に来訪。熊楠にまつわるリサーチと作品制作のレジデンスをコーディネートし、作品展示のサポートも行った。
活動の独自性
行政の補助金やバックアップを受けない、完全民間型のアートプロジェクト/芸術祭として、少人数で、ある種ベンチャー企業のようなアジャイルな運営を行いながら、活動の収益化などにも積極的に取り組んでいる。
フィールドである熊野は、歴史・風土・文化・自然などの様々な文脈が深く交差しながら堆積しており、現代アートや文化人類学などの視座を通して、地域のもつそれらの価値を再解釈・再定義しなおして、可視化や言語化することを行う。
また、全世界へ向けた地域文化アーカイブスとして、HPやSNSでは全て日英の二言語で発信を行っている。
総括
活動も5年目に入り、地域においては一定の知名度が定着してきたように感じる。初年度(2021年度)の反省から、地域に届けること重視で取り組んできた結果とも言えるが、同時にまだまだ届いていない層が多いということも感じる。少しずつでも広げていけるよう、ここは焦らずじっくり取り組んでいきたい。
また、これまでは我々が起こしたアクションに対して参加してもらうことが多かったが、今後は関係者の方々を中心に、我々が彼らの日常に足を運び、より親密なコミュニケーションをとりながら、地域との繋がりを深化させていきたい。
その他、上記のオランダのアーティスト以外にも、国内外のアーティストからの相談や、ビジネス系勉強会での講演依頼など、様々な問い合わせが増えてきている。領域横断的に動ける事は我々の強みであるので、そういった活動も積極的に行なっていきたい。