活動の目的
釜川流域で⼈や⽣き物が健やかに育まれる空間を創出することを目指し、これまで交わることの無かった動植物・⼟地活⽤・歴史・アートなどの分野の専⾨家を招聘することで地域の魅⼒を多⾓的に考察している。そのために官⺠連携を実現し、公共空間の活⽤など⺠間の⼒だけでは実現しにくいアプローチにも積極的に取り組むことで、地域活動の担い⼿の育成にも繋げている。また、弊会の調査で、絶滅危惧種の⽣息が確認できるなど、豊かな⽣態系があることが判明してきた。このような釜川が持つ豊かな⽣態系を⼿掛かりに、地域の特性をクリエイターとともに発信し、⼈と⽣き物がより良く共⽣することができる空間づくりを⾏う。
活動の内容
・4月より企画会議、ゲスト調整等を進めた。
・昨年度に引き続き、アーティストの安藤 隆一郎 氏(身体0ベース運用法)を招へいし、昨年度整備した「のんき」での、アーティスト・イン・レジデンスを実施しながら、アーカイブ展示を実施すべく、釜川の「川と人の暮らし」の関係をリサーチを深めていった。(2025年7月、9月、10月)
・また、アーカイブ展示の作品作成にあたり、素材収集を目的としたワークショップも実施した。(2025年10月11日:剣宮神社跡をひらく)
・さらに、2025年11月1~2日にかけて、釜川から育む会のメンバーにて、以前より参考にしている「星座型面的アートコンプレックス構想」をはじめ、多数のアートプロジェクトが展開されている大分県別府市のBEPPU PROJECTを視察した。
・これらの取組を積み重ね、11月22より、12月14日にかけて、安藤氏による、これまでに収集した宮染めや釜川をはじめ宇都宮に関する資料、ヒアリングで得た人々の記憶をもとにした展示「釜川河岸アーカイブス2025」を開催した。
・11月22日には、BEPPU PROJECTをはじめ、アートによる地域振興に取り組まれる山出淳也氏をゲストに、指出委員にもご登壇いただき、これからの芸術祭と地域振興を考えるシンポジウムを実施(定員:20名程度、参加者:23名)
・「のんき」を拠点に、安藤氏の提案から生まれた「釜川ギョギョ協働組合」の展示場所を、中長期的にアートプロジェクトの拠点として活用できるスキームを検討。具体的には協力者である高校生物部の学生による水槽展示の維持が行なえるように会則や、拠点活用に関心のある地元クリエイターらを利用メンバーとしたコワーキング利用による収益化方策などを検討した。
・今後の招聘アーティストの取り組みもまとめていくことも視野に入れて、記録冊子のフォーマットを検討した。その上で、今年度一冊目として、昨年から続く「釜川河岸アーカイブス」の取り組みをまとめた記録冊子を作成した。
参加作家、参加人数
参加作家:安藤 隆一郎 氏(身体0ベース運用法)
①シンポジウム「宇都宮で考えるこれからの芸術祭と地域振興」
実施日:2025年11月22日(土)16:00~18:30
参加者:定員20名程度に対し参加者23名
②安藤 隆一郎氏「釜川河岸アーカイブ2025」
実施期間:2025年11月22日(土)~12月14日(日)
「人と表現があつまるところ のんき」2階で展示を実施。期間中同施設を訪れた方にアーカイブ展示を紹介・発信
他機関との連携
①安藤氏のアーカイブ展示作品の作成にあたり、釜川のこれまでの「川と人の暮らし」に関する情報として、以下の6主体から資料提供をいただくほか、13主体からインタビューの協力を得て実施した。(昨年度からの継続含)
資料提供:株式会社中川染工場、福井染工場、簗瀬地区連合自治会、宇都宮市文化都市推進課、大塚雅之、器ながみ
インタビュー協力:株式会社中川染工場、福井染工場、簗瀬地区連合自治会、器ながみ、株式会社ヨコセ、宇都宮畳工業株式会社、篠原武久、篠原昌子、釜川プロムナード整備協議会、ふじ田 かつお節、とちの木、柳屋旅館、タテノ本店
②本企画の実施にあたり、釜川プロムナード整備協議会、カマクリ協議会、ビルトザリガニまちづくり合同会社の協力を得て実施している。
活動の効果
本活動を通じて、アーティストの安藤氏のリサーチや作品作成にあたり、過年度に整備した「人と表現があつまるところ のんき」でのアーティスト・イン・レジデンスを計26⽇実施。さらに、これらのリサーチや作品展示を通じて、地元の染め物である宮染めの関係者を中心に、計19主体から資料提供やインタビューの協力をいただきながら、釜川のこれまでの「川と人の暮らし」の情報のとりまとめ、アーカイブ化とその発信が進んだ。
加えて、将来に向けての活動として、安藤氏の提案により作成された「釜川ギョギョ協働組合」の展示場所が、今回の展示をきっかけに、釜川の環境や生きものを入口に、学び、体験し、考える活動を行う任意団体の中長期的な展示場所や活動の拠点として活用すべく、運営方策等の検討も進んでいる。
活動の独自性
昨年度から本事業に取り組む中で、郷⼟資料館など地域の歴史を学ぶ場所が無いこと、市内⽂化施設の地域連携プログラムが希薄になっている等の課題が⾒えた。当初は中⻑期⽬標として「芸術祭」等への展開も⽬指したが、芸術祭という形式⾃体が問われる昨今、釜川エリアを拠点としたコミュニティアーカイブの設置や地域活動を促進する中間⽀援など、作品展⽰を中⼼とした芸術祭形式だけではない社会とアートを繋ぐ仕組みづくりを模索しながら、今年度の活動を展開している。その結果として、地域で100年続いたおでん屋の建物をリノベーションした施設「のんき」において、「釜川河岸アーカイブ2025」と題した、釜川の川と人の暮らしにフォーカスした約1カ月間のアーカイブ展示や、これまでの生物多様性に向けた調査や取り組みを素地とした「釜川ギョギョ協働組合」による、河川の生きものの展示を行っている。
総括
昨年度からの本事業を通じた活動によって文化複合施設「人と表現があつまるところ のんき」が完成し、アーティスト・イン・レジデンス施設の運用が開始された。また、「釜川河岸アーカイブス」のリサーチ等も通じて、染め物を中心とした地元の関係主体や行政(宇都宮市等)との関係構築も進んでいる。そして、今年度においては、作品展示を通じて、地元文化のアーカイブ化や新たなコミュニティ(釜川ギョギョ協働組合)の活動拠点と運営方策の検討も進んだ。加えて、こうした実績もあり、これまで当会が活用してきた拠点に加えて、のんきに隣接する駐車場や地域内の元倉庫施設の利活用に向けた調整も進んでいる。来年度については、こうした流れを継続し、アーティスト‧イン‧レジデンスを軸としながら、アーティストと共に、のんきと釜川に隣接する駐車場をポケットパークやランドスケープアートの整備を進め、⼈と⽣き物がより良く共⽣することができる空間づくりを⾏う。