活動の目的
本活動は、1960~1990年代を「ニューの時代」と捉え、その時代に生まれた建物や生活文化を調査・保存し、価値を見直すことを目的としている。尾道に残る昭和中後期の商店や文化住宅は、古い町並みや寺社と同様に、地域の景観を形づくる重要な層である。なかでも昭和49年築の文化住宅《ニュー尾道》を拠点に、保存修復の過程そのものを公開し、記録しながら進めることで、近過去の生活文化を再考する場をつくることを目指した。
活動の経過
初年度は、25年間空き家となっていた文化住宅《ニュー尾道》を購入し、蔦の除去、庭や配管の確認、床下の開口などを通じて、建物全体の状態把握と基礎的な調査を進めた。並行して、公開イベントやトークを実施し、プロジェクトの背景や問題意識を共有した。加えて、今後の展開を見据え、商店街や地域コミュニティへの調査拡張、高齢者世代との対話、生活文化の聞き取りへ向けた準備を進めた。
活動の成果
本年度は、文化住宅の保存修復を実際に開始したことで、昭和中後期の生活空間を机上ではなく実地に捉えるための具体的な足場を築くことができた。汲み取り式便所や狭い路地、資材搬入の困難さなど、尾道の歴史保存地区に固有の生活条件に触れたことで、修復と居住の両面から新たな知見が得られた。また、公開イベントや対話を通じて、昭和の建築や生活文化を現在の視点から捉え直すための論点が整理され、今後のアーカイブ制作や調査の方向性が明確になった。
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第1回イベント「試験調査」では、水道管、浴室、キッチン床下、雨漏りのある床および天井の状態の一部を公開し、展示として提示した。あわせてプロジェクトの解説ツアーを実施した。 また、東京藝術大学准教授・平諭一郎(保存修復・アーカイブ研究)、同大学准教授・小瀬村真美(現代美術)を交え、発見された構造や文化住宅の保存修復の方向性について、アートの視点から検討する公開意見交換を行った。
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第1回イベント「試験調査」では、水道管、浴室、キッチン床下、雨漏りのある床および天井の状態の一部を公開し、展示として提示した。あわせてプロジェクトの解説ツアーを実施した。 また、東京藝術大学准教授・平諭一郎(保存修復・アーカイブ研究)、同大学准教授・小瀬村真美(現代美術)を交え、発見された構造や文化住宅の保存修復の方向性について、アートの視点から検討する公開意見交換を行った。
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第2回イベント「構造調査」の様子。尾道市在住の宮大工・豊田訓嘉氏と東京藝術大学准教授・平諭一郎をゲストに迎え、1階・2階の床下構造および屋根の一部、西側外壁の一部を露出させた状態で公開した。 イベントでは、大工の視点から木造構造の歪みの修復方法、木材の選定や加工・処理、歪みの矯正についてのレクチャーを行った。あわせて、近年の木造建築を取り巻く状況についても議論が及んだ。