活動の目的
「瀬戸内」に関係する歴史・民俗・風俗・地理・自然科学などの多様な分野を学術的な観点から捉え、次代へのメッセージとして残すため、書籍「瀬戸内全誌」(仮題)の編纂に向けての準備作業を行う。
活動の内容
2016年度は、瀬戸内国際芸術祭2016連携事業として香川県が県立ミュージアムにて開催した特別展「ワンロード-アボリジニ・アートの世界」のオープニングシンポジウムを瀬戸内全誌準備員会の勉強会として開催した。
また、「瀬戸内全誌」の項目立てを検討する準備作業として、検討会や中心的テーマ(コア・テーマ)ごとの作業部会において、検討メンバーを人選し、意見・情報交換、現地調査を踏まえ、総論や各論の項目や構成を協議した。
参加作家、参加人数
○オープニングシンポジウム
講師:マシュー・トリンカ(オーストラリア国立博物館長)
小山修三(国立民族学博物館名誉教授)
池澤夏樹(作家)
参加人数:160名
○検討メンバー:12名
他機関との連携
なし
活動の効果
人文・自然等の分野から成る検討メンバーによって禎瑞新田(愛媛県西条市)や宮島(広島県)などの現地調査や意見交換を行うとともに、瀬戸内全誌のたたき台となる項目立てについての検討を行った。検討メンバーの人選から約半年ではあるが、分野を超えた総合化への機運は高まっており、さらに現地調査を継続することにより、目指すべき質の高い内容が期待できると考えている。
活動の独自性
「瀬戸内全誌」は既存の事典や地域雑学本とは異なり、体系的で百科全書的な内容・ビジュアルを持つ内容を目指している。基本的な方針として、「地域」と「海域」との関連性を前提とした地域像の提示を試み、スケールの多様さ、重層を理解し、念頭に置きながら、個別の事象に偏重せず、その根底に通底するもの/ことになるべく目を向けた、体系的・総合的な叙述を志向することとしている。
総括
本準備委員会は瀬戸内海の文化を掘り起こすため、さまざまな分野の専門家と知のネットワークづくりを目的としている。
「瀬戸内全誌」で目指したいのは、「瀬戸内地域で見られる諸現象・諸問題を説明する百科全書」であり、そのためには、諸分野の知見にとどまらず相互の関係性を把握し、それらをある視点で組み立てるという総合化・体系化を目指すとともに、複数事象を貫く新たなものの見方を付け加える内容と構成を提示する。さらに、来年度は、具体的な制作作業に向けて、項目の考え方や叙述方法を固める予定である。