活動の目的
稲作や畑作、果樹、牧畜といった日本の原風景である棚田を核として、地域住民と豊島に訪れる観光客、高い芸術性を有する「豊島美術館」が一体となったプログラムを展開し、活力ある地域社会、住民とアートの島へ再生する活動を行った。
活動の内容
豊島での活動が7年目を迎え、棚田の再生復元がほぼ終了した今、漠然としか捉えていなかった棚田の持つさまざまな魅力を明確にすることにより、人々がふれあう空間としてのプログラムを実施するとともに、地域住民に豊島の持つ魅力を再発見させる手がかりとなるイベント等も開催した。
具体的には、
■住民による主体的な棚田の維持管理
■住民と来島者の協働による創造的な地域振興(積極的な棚田エリアへの誘導など)
■住民と来島者、「豊島美術館」の連携によるプログラム「豊島棚田の収穫祭」を2015年11月8日に実施する計画を立て、準備はしたものの、悪天候のため中止を余儀なくされた。
実施場所:香川県小豆郡土庄町豊島の唐櫃地区の棚田とその周辺
参加作家、参加人数
約45,000人(豊島美術館入館者数と同等)
他機関との連携
唐櫃棚田保存会、NPO法人豊島観光協会、豊島自治連合会、NPO法人瀬戸内こえびネットワーク、香川県、土庄町
活動の効果
これまでの取り組みにより、行政主導、過疎と高齢化を理由に何もできないという意識から、住民主体で何かができるのではないか、やってみようという前向きな意見や行動が出てきた。また、来島者との垣根が低くなってきたこともあり、来島者と住民が気楽にふれあうことにより、地域に活力が出てきた。
ここ数年間で開催した棚田の収穫祭により、秋の地域の一つのビッグイベントと認識されるようになったが、前出のとおり、今年は開催することができなかった。
活動の独自性
棚田の再生復元、豊島美術館の開館、2度の瀬戸内国際芸術祭の開催により、沈滞、下降曲線を描いていた豊島地区の活性化が図られたとともに、アートと食による豊島全体の再生が図られつつある。
総括
棚田を耕作している農家は、大半が65歳以上の高齢者である。これまで豊島地区、特に唐櫃岡地区の住民が豊島美術館や関係団体と一体となり継続してきたこの活動は、紆余曲折もあるが、上昇曲線を描いている。
しかしながら、10年後の棚田で耕作する農家がどうなっているかは、現状では悲観的な考えしかないことから、今後の対策を考慮した活動を行う必要がある。