活動の目的
稲作や畑作、果樹、牧畜、棚田といった日本の原風景を核として、地域住民と豊島を訪れる観光客、高い芸術性を有する「豊島美術館」が一体となったプログラムを展開し、活力ある地域社会・住民とアートの島へ再生する活動を行った。
活動の内容
豊島での活動が6年目を迎え、棚田の再生復元がほぼ終了した今、漠然としか捉えられていなかった棚田の持つ様々な魅力を明確にすることができ、人々がふれあう空間としてプログラムを実施するとともに地域住民に豊島の持つ魅力を再発見させる手がかりとなるイベント等も開催した。
具体的には、
■住民による主体的な棚田の維持管理
■住民と来島者の協働による創造的な地域振興(積極的な棚田エリアへの誘導など)
■住民と来島者、「豊島美術館」の連携によるプログラムの展開(棚田の収穫祭など)
実施場所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃地区の棚田とその周辺
参加作家、参加人数
収穫祭:358名(島民165名、島外193名)
他機関との連携
豊島唐櫃棚田保存会、特定非営利活動法人豊島観光協会、豊島自治連絡協議会、特定非営利活動法人瀬戸内こえびネットワーク、香川県、土庄町
活動の効果
これまでの取り組みにより行政主導、過疎と高齢化を理由に何もできないという意識から、住民主体で何かができるのではないか、やってみようという前向きな意見や行動が出てきた。また、来島者との垣根が低くなってきたこともあり、来島者と住民が気楽にふれあうことにより、地域に活力が出てきた。棚田の収穫祭は地域の秋の一つのプログラム、イベントと認識されるようになった。
活動の独自性
棚田の再生復元、豊島美術館の開館、2度の瀬戸内国際芸術祭の開催により沈滞、下降曲線を描いていた豊島地域の活性化が図られたとともに、アートによる豊島全体の再生が図られつつある。
総括
棚田を耕作している農家は大半が65歳以上の高齢者である。これまで豊島地区、特に唐櫃岡地区の住民が豊島美術館や関係団体と一体となり継続してきたこの活動は、紆余曲折もあるが上方曲線を描いている。しかしながら10年後に棚田で耕作する農家がどうなっているかは、現状では悲観的な考えしかないことから、今から今後の対策を考慮した活動を行う必要がある。