瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

塩屋布団太鼓による子供巡行活動

塩屋青年会  岸部克俊

実施期間

活動の目的

塩屋の郷土芸能である布団太鼓は昭和30年代に一度廃絶したが平成21年に約50年ぶりに復活。復活してこの10年、青年会を中心に活動を進めてきた。10年の間に、ハード面として布団太鼓の改修、布団太鼓倉の建築、ソフト面として担ぎ手の技能向上、布団太鼓巡業の運営ノウハウ向上など、地域の各団体のご協力により成長することができた。今では、布団太鼓巡業は老若男女が集う世代交流の場となる行事となった。町の宝である布団太鼓を二度と廃絶することなく後世に引き継ぐため、地域の多くの若い世代(子供たち)にこの布団太鼓を知ってもらい乗り子(太鼓叩き)や将来の担ぎ手の継承につなげたい。

活動の経過

2018年10月 秋祭りの布団太鼓巡業の子供巡行に地域小学校とPTA関係者に実際に見て体験して頂きこの活動の趣旨を理解して頂いた。
同年12月 塩屋青年会役員会にて、布団太鼓の継承について議論し、乗り子衣装および子供用法被の製作を提案。
2019年3月 乗り子衣装と子供用法被の発注
同年5月1日 天皇陛下ご即位奉祝垂水布団太鼓巡行実施。初めて垂水の街で塩屋の布団太鼓を披露することができ、垂水区民の皆様にも塩屋地区の布団太鼓をアピールすることができた。
同年5月 地域のお祭(神戸まつり協賛しおやまつり)にて、地元小学校で伝統芸能の獅子舞公演と乗り子の募集を開始。
同年7月 地域の夏祭り(若宮神社天神祭)にて太鼓倉を開放して布団太鼓の公開。秋祭り以外で布団太鼓に触れる機会をつくり多くの子供たちに体験してもらえた。
同年9月 秋祭りに向けて乗り子の練習開始とともに体験会を実施。地域の小学校と幼稚園に子供巡行の案内の配布。子供法被と乗り子衣装納品完了。
同年10月 海神社秋祭り塩屋布団太鼓子供巡行の実施。

活動の成果

昨年、令和元年度(2019年)海神社秋祭り塩屋布団太鼓子供巡行は、下記の成果を得る事ができた。
子供の参加数は、当初170名参加を見越していたが、事前に地域小学校と幼稚園に参加の案内の配布を行った事により250名以上の参加があり、大いに子供巡行が盛り上がった。また子供巡行の案内配布を行ったことにより新興住宅地内での巡行では、多くの親子が詰めかけて、来年は子供巡行に参加したいといった声や、将来乗り子になりたいという声、布団太鼓巡行に対する意見や提案など頂き、来年以降の活動にフィードバックしていきたい。
当初子供用の法被は、子供巡行に参加する子供たちにと考えていたが、製作枚数や管理の問題など青年会で意見を出し合い、乗り子が子供たちの憧れの存在になれるよう乗り子が着用して、乗り子自身で祭期間中管理して運用することとした。
また新調した乗り子衣装は、乗り子たちに大変好評であると共に自分達の大切な“道具”の一つとして、乗り子たちのモチベーションの向上が図れ、新たな価値を見出した。
今年は青年会の活動の場において、布団太鼓を次世代に継承することを念頭に、太鼓叩きの体験会等の実施により新たに4人の乗り子が誕生した。何よりも今年から昨年まで乗り子であった6人が担ぎ手となり布団太鼓が復活して、10年目にして初めて一つの道を開くことができた。布団太鼓を引っ張る子供巡行から乗り子、担ぎ手、太鼓長、各役員となりこれからの世代が塩屋の布団太鼓を継承できる環境を引き続き整えて活動していきたいと思う。

活動の課題

公道を使用しての子供巡行は、参加人数が増えることにより子供たちと親御さんの安全確保が必須課題であり、協議会(村)、警察と連携して対策を講じる。親御さんから乗り子の安全面(太鼓に乗っている時)についてご指摘があった。他地区の布団太鼓を参考に今後は、祭り全体の安全面を強化する必要がある。

  • 塩屋布団太鼓子供巡行の様子

  • 新しく街開きした住宅地での布団太鼓巡行と獅子舞公演

  • 子供法被と今年の乗り子たち