活動の目的
高松中心部からフェリーでわずか20分の所にあるにもかかわらず、限界集落化している女木島。生活や食文化を今現在元気でいる島の高齢者から聞き取り、後世に残さなければならない使命感を持っている。島外者と島のお年寄りの交流が生まれ、今一度女木島独特の文化の掘り起しをすることで、島の人には当たり前だと思われていることの再発見が出来れば、島の皆さんの元気につながると考える。
活動の経過
ワークショップで女木島特産の「にんにく」や「南京豆」、「トウモロコシ」の収穫を島外の人に手伝っていただき、女木島のよさをわかってもらい、女木島に興味を持っていただく。島外の方々に女木島の応援団として島に渡ってきてもらい、農業、漁業のお手伝いをお願いする。
畑でワークショップをしているとご近所さんがそろそろと集まってきてそれぞれが「こうしたらいい」「ああしたらいい」とアドバイスをする。
また、かつてはどの家も自分の畑で麦を蒔き収穫した麦の軸で「こも」を作り、暑い夏を涼しく過ごしていたと聞く。今では唯一、民宿竜宮のユキエ母さん一人だけが毎年梅雨に入る前に麦を収穫している。この「こも」作りもユキエ母さんがもう今年で最後、と毎年言っている。ユキエ母さんが元気なうちにきちんと教えていただき絶えないようにする。ワークショップのリピーターが回を重ねるごとに増えた。
活動の成果
最初は「恥ずかしい」「笑われる」と言っていたお年寄りが、今では「教えて」とお願いすると、水を得た魚のごとく知っているすべてを教えてくれる。島外の人たちとも気兼ねなく話が出来ているように見受けられる。
今までは当たり前のように思っていたことでも、若い子らが「へ―」と言うとしっかりと話してくれる。島のおばあちゃんたちには当たり前の事が、島外の人にとっては非常に珍しい事が多くあり、見直されている事がわかってきた。ワークショップを通じ、女木島の良さと人のつながりを感じた方たちが増え、島民と島外の人たちとの交流が増えてきた。お年寄りに「今度は何する」と聞かれることが増えてきた。また「何でも言ってくれたら手伝うよ」とうれしい言葉が聞けるようになった。
桜の木に巻き付いた蔓は木の成長の妨げになり、生い茂ると道路から海が見えなくなる。蔓を刈るのに財産区の土地に入るので、女木の代表者に蔓を刈りたいと相談に行くと「持て余しているのでどんどん取って構わない。凄く助かる」と言われた。ワークショップ当日も近くの蔓取りを予定していたが、時間の関係で山歩きのスペシャリストにお願いして取っていただいた。これからも季節によって、やらなければならないことが沢山あることに気づかされた。そろそろ島の人たちと実行していこうと考えている。
活動の課題
女木島に興味がある人が大勢いることに気が付き、大変うれしく思った。ますます高齢化が進む島だが、高松中心からわずか20分をウリに、女木に遊びに来るのもいいが、ワークショップに来られた方を中心にますます女木島に来てお年寄りとの交流や畑の手伝い、また話し相手になってくれるような環境を作り、島の皆さんのお手伝いができるよう、架け橋となっていきたい。
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ユキエ母さんの指導のもと種蒔き最中
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こもを編む
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意外と男性が蔓にはまっていた