活動の目的
新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期していた「北アルプス国際芸術祭2020-2021」を地域住民、地域関係団体、長野県、市が一体となり徹底した感染対策を施し開催し、芸術文化の振興と多様な人々の交流、国内外への強い発信を加速させていく。また、アートを起点にしたまちづくりが芸術文化の振興に留まらず、地域ブランドの向上、ひとづくり、社会課題への対応、環境との共存など幅広い分野に寄与していき、地方創生のモデルケースとして持続可能な地域社会の構築を進め、住民が元気で魅力的な地域になることを目指す。
活動の内容
北アルプス国際芸術祭2020-2021を開催
1 アートプロジェクト
11の国と地域から36組のアーティストが参加。北アルプスの麓に位置する大町市全域をフィールドに、この地域の自然の豊かさを表す「水・木・土・空」をコンセプトとした、サイトスペシフィックな34個の現代アート作品と、3つのパフォーマンスを展開。大町市の魅力を広くPRした。
2 食プロジェクト
当地域では昔から農作業の合間に食べる食事を「おこひる」と呼ぶ。地域のお母さんたちが、地元食材を使用した特別なお弁当を、郷土の歴史や食文化の語りとともに提供する「地彩レストランおこひる公堂」を開設し、大町の伝統的な食文化を広く発信した。
参加作家、参加人数
作品数 37作品(内パフォーマンス3点)
アーティスト 11の国と地域から36組
来場者 33,892名
ワークショップ参加者 580名
他機関との連携
大町市、大町市教育委員会、長野県、北アルプス広域連合、東京都立川市、大町市観光協会、市内飲食店事業者、宿泊事業者、近隣美術館、信州大学等
活動の効果
大町市の資源を『アート』という形で価値を見出したことで、多くの人を呼び込むことに成功した。地元住民からは「地元の魅力を再発見できた」との声を多くいただき、地域に愛着と誇りを持つシビックプライドの醸成にも繋がった。また、北アルプス国際芸術祭2020-2021を契機に、地域ポータルサイトの構築や地域ECを開始し、これにより新たな層に対して大町市をアピールすることが出来た。
活動の独自性
大町市では、国からSDGs未来都市として認定されたことを契機に、大町市とSDGsの取り組みを積極的に推進している企業が中心となり、100年先を見据えた「まち・ひと・しごとづくり」を実現し、サステナブルなモデルタウンを目指す「みずのわプロジェクト」が令和2年12月に発足された。当初より、大町市の地域資源である「水」を起点としたまちづくりの方向性を一にしていた「北アルプス国際芸術祭」と「みずのわプロジェクト」は連携・協働を進めていくことを決め、産官学金の強い連携の下、知名度の向上とともに生み出される大きな人の流れを、移住・定住に繋げ、持続可能なまちづくりを進めている。
総括
新型コロナウイルスの影響で2度の延期を経ての開催となった。ちょうど感染状況が落ち着いた時期だったことも幸いし、会期中に市内感染者を一人も出すことなく終えられ、来場者やスタッフの安全は確保できたと考えている。コロナ禍という状況の為、住民が作品制作や運営に携わった地域は一部にとどまり、ボランティアサポーターの参加も制限をかけざるを得なかったことは残念であるが、様々な課題を抱える中でも出来る限りの工夫を凝らせば、イベントを行えることを証明できたリーディングケースとなるもので、開催した意義は大きいと感じている。アート作品を通して、地元住民にとっては「当たり前」のものが、市外の人にとって「うらやましい」ものとなり、何度もこの街に訪れてくれる「大町ファン」を生み出すきっかけとなった。地道なことであるが、これが「定住」や「関係人口」の増加に結びついていくものと信じている。北アルプス国際芸術祭は一過性のイベントではなく、地域としてのブランド力向上と地域再生という将来に向けて大町市が持続可能な街として存続していくことを理念に掲げている活動であり、今後も更に力を入れて活動を継続していきたい。
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アート作品を鑑賞する来場者の方々
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「地彩レストランおこひる公堂」の様子
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受付スタッフの皆さん