活動の目的
長島のユネスコ世界遺産登録を目指す瀬戸内市と、長島愛生園、同歴史館及び同入所者自治会と協働し、社会全体へ対するハンセン病問題の正しい理解の普及啓発に寄与することを目的とする。入所者の高齢化が進む愛生園が現在抱える課題のひとつに「継承」という行為がある。人や場所の記憶を受け取り、語れなさを語ること。誰でも自身の内面に波紋を広げていった先に当事者となり得る何かを秘めている。今回は、本法人が長島愛生園入所者自治会から運営を委託されている「喫茶さざなみハウス」を拠点にして、個人的な体験と大きな歴史、自分と異なる他者との交錯点を探るシンポジウムとワークショップを実施。長島に常設を目指すダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下DIDと略)の取り組みを中心に新しい対話・感覚の模索を目指す。
活動の経過
新型コロナウィルスの影響や関係各位のスケジュールにより、全体のスケジュールは遅延したが、無事に開催にいたった。
2021年7月27日
DIDミーティング・運営会議 将来構想、DID設置に向けた現状の課題、TODOの洗い出し
11月30日
運営会議 園に向けた今後の提案方法について
12月10日
運営会議 イベントの最終内容、ゲストについて
12月19日
運営会議 3月19~21日のイベントタイトルの決定 長島ダイアローグ3DAYS「ひらかれる継承、それぞれの架橋」
2022年2月15日
愛生園と自治会とイベントの最終協議と調整
3月3日
まん防期間延期によりイベントのオンライン開催を決定(うち演奏会は延期)
3月14日
21日のイベントのゲスト最終ミーティング 当日のテーマ・流れの最終確認
3月21日
開催日/15時スタート、18時30分終了 「あらたな対話で継承をひらき、橋を架けていく」
3月24日
運営会議 イベントの振り返りについて
活動の成果
2022年3月21日 15時~18時30分
長島ダイアローグ
あらたな対話で継承をひらき、橋を架けていく
会場/喫茶さざなみハウス
司会/堀潤(NPO法人8bitNews代表理事、ジャーナリスト)
ワークショップ進行/林暢明(TAO主宰)
基調講演1/志村真介(DIDジャパン代表)、志村季世恵(一社DIDジャパン・ソサエティ代表理事)
基調講演2/和田夏実(東京大学大学院総合文化研究科研究員)
特別ゲスト/中尾伸治(長島愛生園入所者自治会会長)、山本典良(長島愛生園 園長)、田村朋久(長島愛生園歴史館 学芸員)
記録映像URL https://youtu.be/YyjGvqwI6pI
2030年に国立療養所長島愛生園の開園100周年を迎えるにあたり、継承・対話について様々な視点から語った。国の隔離政策により、入所者は入園後子どもを持つことができなかった。2世3世と語り継ぐものがおらず、地域で歴史を伝えていく必要がある。長島に関わったひとりひとりが継承という行為に参加していくためには、自分の心を柔らかくして対等な対話の可能性を探っていくことが大切である。大きな歴史を背負った長島だからこそ伝えられる対話の可能性がある。深い対話の時間となった。後半は林田暢明さんによるグループでのワークショップを行い、参加者の皆さんとそれぞれの気持ちを語った。
本イベントは映像とグラフィックレコーディングでアーカイブしている。
活動の課題
今回のイベントを通じて開園100周年に向けた節目を瀬戸内市、愛生園、入所者自治会ともに改めて意識できた。また、DIDの可能性についても互いに認識し合えた。今後は活動をより広めていくために、支援者の輪を広める仕組みづくりが必要と感じている。また、長島の島外の多様な感性がまじりあう場所としてさざなみハウスを継続させ、発展させていくこと、入所者と共に歩んでいくことも重要な課題である。