活動の目的
広島県三原市にある、すなみ海浜公園は、障がいのある方も利用しやすいよう、バリアフリー設計されている。
しかし、すなみ海浜公園は、障がいのある方の利用が多くない。その原因の1つとして、バリアフリー環境についての認知度が低いこと、訪れるきっかけがなく実際にどんな場所なのかわからないことが挙げられる。
みんなの海シアターは、映画鑑賞やマルシェをきっかけに、より気軽にすなみ海浜公園を訪れていただき、バリアフリー環境に触れ、知っていただくことを目的としている。
活動の経過
以下の7つを同時進行しながら行った。
1 会場の下見
わかりやすく、車いすの方も動きやすい動線になるように、スクリーンやマルシェの位置を検討した。
2 イベント名の検討
障がいのある方のための上映会ではなく、障がいのあるなしに関係なく、みんなが楽しめる上映会であることが伝わるようにした。
3 上映作品の選定
選定にあたって、子どもからお年寄りまで楽しめるストーリーであること、海での上映が相乗効果をもたらすこと、「障がい」をテーマとして扱っていないこと、字幕付きであることを条件とした。
4 チケット料金・購入方法の検討
5 デザインの検討(チラシ・ポスター・チケット・会場)
パンパカンパニ(広島県で活躍するデザインチーム)のみなさんにご協力いただき、親しみやすくあたたかい、家族や友達などにシェアしたくなるようなデザインにした。
6 広報宣伝/協賛金・マルシェ出店者・運営ボランティアの募集
7 司会者との打ち合わせ
FMみはらでパーソナリティをされている金田さん、早川さんにご協力いただいた。
活動の成果
2023年9月10日(土)に、すなみ海浜公園で、みんなの海シアターを開催した。14時から18時半までマルシェを行い、18時40分ごろから映画「ももへの手紙」(約120分)を上映した。映画鑑賞チケットは200名分すべて完売し、マルシェも含むと、250名以上の方に、すなみ海浜公園を訪れていただくことができた。
マルシェと同時に、海用車いすやビーチマット、最新の車いすの展示・体験を行った。子どもの試乗も多く、楽しまれている様子が見受けられた。イベントの中で、自然とバリアフリー設備に触れていただくことができた。
また、当日16時から上映開始までの間では、司会の方に、会場の雰囲気を盛り上げていただきながら、対談形式でバリアフリーに関することをお伝えした。当法人からは、字幕付き上映や、夏に開催しているバリアフリービーチについて説明させていただいた。ビーチマットを貸していただいた、渋川ユニバーサルビーチプロジェクトの川上さんにもお話をしていただき、ビーチでのこのような取り組みの意義や魅力が伝わったのではないかと思う。視覚的な情報だけでなく、聴覚的な情報があることで、バリアフリー環境の存在に気付くきっかけとなり、参加者から、「へ~!」「そうだったんだ!」といった声が多く聞こえた。
そして、開放的な空間での映画鑑賞は、自由で和やかな雰囲気となった。障がいのあるなしに関係なく、思い思いに海での時間を楽しんでいただける、“みんなの”海シアターになったと感じる。
活動の課題
みんなの海シアターを通して、障がいのある方にもない方にも、すなみ海浜公園のバリアフリー環境について知っていただくことができた。しかし、夏に開催しているバリアフリービーチを広めていくには、障がいのる方により焦点を当てたアプローチも必要であると感じた。例えば、障がいのある方やそのご家族向けに、海に対する心理的なハードルを下げるような企画を行う、サポート体制を充実させていくなどが考えられる。
誰もが「海」という選択肢をもっていることが、当たり前になるよう、取り組んでいきたいと思う。
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映画「ももへの手紙」 上映中
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マルシェの様子
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海用車いす体験