瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

レモンチェッロ酒造でつなぐウィズコロナ時代の観光構築

株式会社瀬戸内ジャムズガーデン

実施期間

活動の目的

<2021年に立上げたレモンチェッロ(レモンのリキュール)酒造事業の基礎を活かし、アルベルゴディフーゾを目指した地域産業造りを推進する> 2021年から「レモンの丘」を造成し、レモンチェッロ酒造事業を核に地域とつながる関係人口構築に取り組んできた。その活動に参加していただける方々は増えているが、コロナの影響でネット上でつながるだけの方が多くなってしまっていた。そこでafterコロナ時代に気軽に島を訪れ、泊まれる、一棟貸しの古民家宿泊所開設を空き家対策も含めて実施する(リノベーションを行う物件は江戸末期、周防大島に柑橘栽培を伝えた周防大島柑橘産業の祖、藤井彦衛門の屋敷から一部移築された築100年の古民家)。

活動の経過

●2020年以前の活動状況(レモンチェッロの商品開発に向けた準備)
2018年10月~
「アルベルゴディフーゾ」で地域産業を創る勉強会を開始。イタリアのスローフード運動に詳しい島村菜津先生や金丸弘美先生を講師に勉強会を実施
2020年 4月
コロナ禍の中、地域の新しい産業造りのため、周防大島町から内閣府へ「リキュール特区」申請を依頼(同年8月「周防大島果実酒・リキュール特区」認定)
2020年9月
新しい観光造りのメンバー募集と設備資金集めのためクラウドファンディングを開始(11月に283名の参加者を得て終了)
2020年10月
酒造免許取得、クラウドファンディングの資金で酒造設備を整え、商品開発を開始
2021年 2月
レモンチェッロの初蔵出し、および販売を3月から開始

●2021年度の活動(「レモンの丘」整備とつながり造り・商品バリエーションの拡大)
2021年 4月
レモンの丘を造成、記念植樹祭を開催
2021年 6月
ホームページ・ECサイト制作完了
2021年11月
第2期製造仕込み開始 ゆず・ライムを使用したチェッロの商品開発

●2022年度以降の活動(アルベルゴディフーゾのシンボル、宿泊産業造りへ)
2022年 4月
江戸時代に周防大島に柑橘栽培を持ち込んだ庄屋藤井彦右衛門の屋敷跡地と移築した建物の再生・利活用計画を策定、改修開始
2023年 1月
古民家改修完了、地域住民の方も手伝っていただいて旧邸庭園と敷地内の柑橘畑化に着手
2023年 3月
旧邸庭園と敷地内の柑橘畑化造成工事 完了
2023年 4月
簡易宿泊業開始の届け出を健康福祉センターに提出

活動の成果

2021年度は「レモンチェッロの製造・販売の基礎構築と交流の仕組みづくり」を実施することができた。その基礎を活動の成果(800ベルゴディフーゾ」産業を構築するためにファーストペンギンとして尽力した。 具体的成果は下記の通り。

1 周防大島の柑橘産業の祖、藤井彦右衛門の息吹の感じられる古民家を末永く存続させるとともに、多くの人々が集う場に再利用することを目的に、古民家の修繕・改築を行った。経済的に維持管理が可能になるよう、単なる修繕ではなく、「一棟貸しの宿」として使用できるように改築を実施した(2023年1月完成)。
2 消防用設備等検査済証取得済み、柳井健康福祉センターに簡易宿泊業の申請を提出済み(宿名:おん宿 古今せとうち)。今後 5~6 月に免許証交付見込み。2023 年夏から宿泊事業を開始する予定。
3 旧邸跡地の庭園改修と柑橘畑化は地域住民の方々の手伝いもあり完成(2023 年 3 月)。途中、隣接地(2筆)の提供が地域住民からあり、計画エリアが拡大したため、その部分については今後の取組となった。
4 島内ゲストハウスにてレモンチェッロの取り扱いが4軒増加。島のお酒として知名度拡大に今後も取り組んでいく。
5 新しいレモンチェッロとして「ブラッドオレンジ」を使用したバージョンを開発・商品化した。

上記以外に、レモンチェッロプロジェクトの効果として、島内ゲストハウスの経営者の方々と話す機会が増え、今後、アルベルゴディフーゾの取組を推進していく組織を立ち上げたいという意向でまとまりつつある。一事業者の取組として始めたレモンチェッロプロジェクトではあるが、島内の農業者・宿泊事業者・体験型旅行提供者などを巻き込み、新しい動きへと発展しつつある。

活動の課題

コロナ禍のこの3年間、当プロジェクトで取組んできた「100年続く地域産業造り」は、コロナがなかったとしても、この過疎の島が本来行わなければならなかった取組みだったと考えている。今回達成できなかった、輸出、地域内事業者とのコラボ企画は次年度以降に順次取り組んでいく。さらに今後は、地域内の多様な事業者と連携し、アルベルゴディフーゾ産業をより強固なものに仕上げ、一過性の観光から脱却し、地域のライフスタイルを楽しむ観光へ、持続可能な地域づくりへと取り組んでいく所存である。
この時代、このタイミングで出会うことができた福武財団とのご縁に感謝している。

  • 地域の方々と庄屋の庭再生周囲はレモン畑に

  • 人々の集う場へ改築した古民家

  • 「おん宿 古今せとうち」由緒書き