アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

【自主・共催】豊島「食プロジェクト」推進事業

豊島「食プロジェクト」推進協議会

実施期間
2022年4月1日~2023年3月31日

活動の目的

豊島における棚田をはじめとする山の幸と瀬戸内の地魚である海の幸などを活用し、食とアートの活動を展開することにより豊島の振興を図ることを目的とする。地元の住民、観光客、豊島美術館が一体となったプログラムを開発し、地域振興のための複合的な活動を続ける。

活動の内容

復元した棚田において、引き続き農作物の栽培と景観の維持管理を中心に活動を行った。年に3回、唐櫃棚田保存会、土庄町(土庄町地域おこし協力隊)、豊島美術館を運営する公益財団法人福武財団が一堂に集まり、「水路清掃」を行っている。
棚田で収穫した米や野菜を島内の飲食店に販売するとともに、軽トラックの荷台に収穫した野菜等を乗せ、島内で移動販売を実施している。また、収穫した野菜等を活用した商品化にも取り組んでいる。
新型コロナウイルス感染症が流行して以降、医療資源の乏しい豊島にあって影響を考慮し、主催する田植え・収穫体験等のイベントにおいて参加者を島内の住民に限定していたが、2022年からは島外からの参加者を募り活動を活発化させた。

活動の独自性

2022年は、新型コロナウイルス感染症の影響が小さくなったことに加え、瀬戸内国際芸術祭の開催年であったこともあり、国内外から多くの観光客が豊島を訪れ、豊島美術館とその前に広がる当団体が維持管理を行う棚田にも多くの観光客の姿が見られた。
棚田で行う収穫体験イベントの開催は、新型コロナウイルス感染症が流行する以前の規模までは戻せなかったものの、島外からも参加者を募り、田植え体験、さつまいも収穫体験、みかん狩り、収穫祭(稲刈り体験・綿つみ体験)のイベントを開催した。美しい景観の中で行うイベントは大変好評である。
特に、棚田で行う最大のイベントである「豊島棚田の収穫祭」では、稲刈り体験等の収穫体験のほかに、キッチンカーや地元飲食店による食のマーケットも開催、棚田のステージでは地元の子どもたちによる演奏を行い、島内外から約500名の来場者があった。
また、棚田で収穫した作物を使った商品開発にも積極的に取り組んでおり、既存のみかんジュースに加え、棚田で収穫した古くなった米を利用した「米粉」や「米粉のパンケーキミックス」を委託製造し、豊島美術館や豊島マルシェで販売した。この商品は、土庄町のふるさと納税の返礼品にも出品した。

総括

福武財団の助成金や土庄町の補助金に頼った運営になっており、安定的な活動の持続へ向け、オリジナル商品の販売等による自主財源の確保が課題である。
また、発足から10年以上が経過し、当初棚田を耕作・保全していた者も、年齢を重ね、高齢化していることから、新たな人材の確保も急務であると考えている。

  • 田植え体験

  • 収穫祭のマーケット

  • 稲刈り体験(収穫祭)