活動の目的
江戸・明治期から続く水車場が当時のままの形で残っており、四国地方で唯一の貴重な存在として、評価が高まっている。現存する水車と器械類の調査に始まり、動態保存を目的として、研究者とともに讃岐の水車の技術を解明してきた。古い水車の保存と新調を実現し、地域の文化遺産として、広く発信していきたい。
活動の経過
保存活動に携わっている高原水車友の会活動は5年目に入り、水車場の整備復活に根気よく取り組んでいる。
2017年度は5月の第4回総会で、今年度に予定されている水車復元の工程について研究者や大工から講義と説明を受けた。また、水路石垣の修繕を行った石材会社から工事の経過報告を受けた。意外と強い由良石の石積みについて学んだ。
・導入される川の水流量測定を継続した。
・毎月最終土曜日の公開日における見学者受け入れはもとより、県立ミュージアムの「地域の文化を守る力」展示参加、徳島文理大学公開シンポジウム参加など積極的に広報活動に取り組んだ。その過程で他団体との交流も生まれた。
・友の会一行は福岡県久留米市に工房を構える水車大工を訪ね、周辺の水車や資料館を見学した。
・念願の旧水車の解体(2017年12月)と新しい水車の組立設置が実現し(2018年2月)、友の会は全力で作業をサポートした。
活動の成果
水車の復元は長い道のりになるが、今年度その夢の一つが実現した。国の登録有形民俗文化財である現存水車の解体と、新しい水車の組立設置を通して、讃岐の水車大工の伝統的技術を継承できたことに大きな価値を見いだした。久留米の水車大工に感謝している。2017年度の活動の成果として次のようなことがある。
(1)朽ち果てながらも古い水車が残存していたことで、水車大工によって正確な図面が作成されたことの意味は大きい。水車も地方の自然条件によってそれぞれ特徴がある。讃岐は水が少ないので効率の良い水車を作る必要があった。
(2)水車には「締め」の技術が集約されている。欅の栓木を打ち込む大工の手許を見ていると、動くものを作る厳しさを感じた。水車が動いたときの力強さが多くの人に伝わっている。
(3)今回、地元高松の若手大工や木工職人に参加してもらったが、技術の継承になることを願っている。
(4)見学者も増えているが、親子で見に来てくれるケースも増え、「全部が動くところを見たい」「日本に水車大工は何人いるの?」という小学生の質問に、この水車が若い人に新鮮な刺激を与えていることをうれしく思った。
(5)県内の他団体といっしょに展示やシンポジウムに参加できたことで、交流が始まったことはとても嬉しい。
活動の課題
水輪の復元に続き、歯車や石臼の復元が必要である。地元香川の大工さんにも関わっていただき、技術の伝承をしていきたい。次の課題は、水車守のような管理体制を作っていくことである。若手のグループも養成し、文化の発信にバリエーションを持たせたい。地域の協力や香川県や高松市の協力を得ていきたい。また道路建設や墓地移転などが迫っているなか、周辺の景観も守っていきたい。
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水輪のユニットの一つを取り外す瞬間。2017年12月9日
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新しい水車の水輪を友の会で組み立てているところ。2018年2月24日
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水輪の中で記念撮影する友の会と大工さんたち。2018年2月25日