活動の目的
高松市六条町に現存する、江戸時代以来の讃岐の水車を復元・保存することを目的としている。溜池の水を利用し、平野部で動いていた水車は、水車大工の高い技術によって支えられていた。文化、歴史、景観面など水車の持つ現代的価値は多様である。水車場を整備することで、それらの価値について学び、まわりに発信している。今は、水車と水車小屋の実測調査を進めている。
活動の経過
2014年4月に発足した「高原水車友の会」は、会員が200名以上となり、毎月の水車公開日のほか、平日にも多くの見学者を迎え、その都度水車の機構をていねいに説明し、手動の製麺機(まだ水車が稼働していないので)でうどんを作り、ワークショップを行ってきた。まだ水車は動いていないが、川から引いた水を水車の手前で流すことはでき、1.5メートルの落差を落ちる水の音に迫力を感じている。また水車場周辺の整備につとめ、300点以上の道具類の整理と展示作業に取りかかっている。水車関連および農業関連の道具類を、わかりやすく展示し、見たり、触ったり、使ったり、スケッチをしたりできるようにしたいと考えている。
また、水車小屋の建物実測調査は、専門の建築士数名とともに、3回にわたっておこない図面を作成した。歯車など水車機構の詳細な調査も、水車大工や工学部の教授とともに行った。水車復元に向けて一歩進んだと思う。
活動の成果
今年度特筆すべきことは、2016年3月に、高原水車とその関連用具が国の「登録有形民俗文化財」になったことである。これは、古い水車場を残そうとする「友の会」の活動や広く支えてくれる動きがあってこその成果である。復元へ向けて大きな励みとなっている。
今年度重点に掲げていた実測調査も進んだ。建物は、江戸時代のものと推定され、曳き家して、明治時代に水車と工場を拡張しているので、不規則な形をしており、非常に調査が難しかったが、図面作成までこぎ着けた。それをもとに今後、修理の方針を立てる。
水車そのものの復元は、水車大工により、図面ができているが、水車の材料である松の木を調達することが、大きな課題となっている。それは専門家に任せて、「友の会」では、水車について学び、その価値について発信している。手始めに、見学者の方たちのために、水車の変遷や構造をわかりやすく書いた「リーフレット」を作成した。また見学者、特に子どもさんたちに説明できるように、手作りのパネルを作成した。米と麦が、粉や白米になる過程で水車が果たす役割をわかりやすく説明している。
また、水車場周辺の庭木を整備する中で、キンモクセイや南天の古木を伐採したので、それを使ってかわいいマスコットを作り、見学者にお土産として渡すことができた。
また長屋を整備し、一部屋を水車関連書籍や写真を閲覧できるようにした。イベントの時には、「水車関連」古文書も展示している。
なによりも今年の特徴は、見学者を多く迎えたことである。今年度は約380名の方に見学していただいた。
活動の課題
やはり水車を動かすことが、所期の願望であるので、専門家と相談しながら、水車を作製すること。
これまでの調査や活動の記録をまとめてわかりやすい冊子を作ること。さらに学習を続けること。
増加する見学者の受入体制を充実させること。わかりやすい展示作りに取り組むこと。水車場の管理体制を改善すること。周囲の景観を守ること。
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見学会に香西地区コミュニティーセンター郷土史の会のメンバーが訪問
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池森教授、野瀬水車大工の調査を手伝う友の会メンバー
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瀬戸内海歴史民俗資料館の公募でワークショップが行われた