瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

第8回豊島学(楽)会研究発表会と豊島・島の学校プラスの開催

熊本学園大学 中地重晴

実施期間

活動の目的

豊島に不法投棄された廃棄物の無害化処理事業が進む中で、跡地利用をどう考えていくのか、瀬戸内国際芸術祭との関連性などを議論するために第8回豊島学(楽)会研究発表会を開催した。また、豊島問題を教訓化し、大学生など次世代に伝えるために、住民会議主催で行われていた「豊島・島の学校」の後継として、「豊島・島の学校プラス」の第2回を開催した。

活動の経過

■第8回豊島学(楽)会研究発表会
4月12日(土)、13日(日)に、豊島公民館で開催した。内容は下記のとおりである。
第1日目 特別報告「瀬戸内国際芸術祭2013について」象山稔彦氏(香川県)、一般発表9題、ポスター発表2題の発表を行った。
第2日目 ワークショップ「日本と豊島の今後を考える」記念講演「日本の原発・エネルギー政策について」植田和弘氏(京都大学大学院経済学研究科教授)と意見交換を行った。
■第2回豊島・島の学校プラス
8月22日(金)~24日(日)に豊島公民館及び島内各所で開催した。
第1日目 戦いの報告と処分地及び島内見学
第2日目 講座「豊島の戦いの現在と課題を学ぶ」
第3日目 シンポジウム「豊島産廃現場の跡地と未来を考える」問題提起 植田和弘氏
豊島みらい会議の設立と運営についての意見交換

活動の成果

豊島学(楽)会は2000年6月の公害調停成立後も、豊島に関心を寄せてきた研究者、学生、市民、行政関係者などの様々な立場の関係者が、豊島を材料に関心のあることを記録、議論、研究する場として設立した。2007年から毎年4月に研究発表会を開催してきた。豊島の公害調停に関わった島民や弁護士、香川県関係者も高齢化し、多くの方が亡くなられた。2013年5月には住民側弁護団長の中坊公平氏が逝去された。豊島の過疎化をどう食い止めるのか、廃棄物等の無害化処理完了後の跡地利用や緑豊かな豊島に戻すために、豊島の再生プランをどう作るのか、瀬戸内国際芸術祭関連で来島者が増加した中で、どのように課題を抽出し、解決策を見いだすのか、2014年度に開催した豊島学(楽)会の第8回研究発表会と第2回「豊島・島の学校プラス」で参加者間で議論した。その結果、豊島みらい会議を発足させ、議論の場を作る。結論を実行していくための舞台装置をそろえていくという結論が導き出された。豊島に不法投棄された廃棄物の無害化処理は、公害調停の処理期限である2017年3月末に終了する予定であるが、無害化処理完了後の豊島の処分地をどのように再生するのか、跡地利用方法の検討を行う時期に差しかかっていることを関係者間で共通認識を持ち、課題を明確にすることができた。2010年と2013年に開催された瀬戸内芸術祭によって、変化した豊島への来島者にどう廃棄物問題をアピールするかを議論した。
また、2012年まで毎年8月に廃棄物対策豊島住民会議主催で開催された「豊島・島の学校」は10回で終了したが、大学生等若者向けに豊島の廃棄物問題を教訓化し、教育する場の必要性を再認識し、大学関係者を中心に、豊島住民会議に負担をかけずに、「豊島・島の学校プラス」を開催した。豊島問題はいまだに全国的に注目されており、豊島の教訓を次世代に伝えることの重要性を参加者で認識し、今後も継続することを確認した。

活動の課題

豊島に不法投棄された廃棄物の無害化処理はあと2年で終了する予定である。その後、跡地をどのように活用していくのか、豊島問題を教訓化し、次世代向けの環境教育の実践の場として活用していく必要がある。そのために、豊島問題に関わってきた関係者が情報発信し続けていく必要がある。豊島学(楽)会や島の学校プラスをどのように継続していくのかが課題である。