活動の目的
世界地理学会観光・レジャー・グローバル変化部会が開催する当該学会は毎年(または2年に一度)行われる学会であり、世界各国から観光地理学の専門家が集まり、研究発表を行うことが主な目的であるが、2013年の計画はそれと同時に瀬戸内海の観光と文化についての巡検も含める。海外の研究者が瀬戸内海の各地域における観光の特徴と文化資源について学び、日本を代表する観光地域の一つである瀬戸内海について海外での認識を高めることを目的とする。
また、この学会では各国からの研究者が観光地理学の最新の課題について発表し、世界の観光動向、観光に関する理論、観光を調査する方法についてその発表から学ぶことができる。発表会を公開し、興味のある地域の大学生、観光産業関連者、観光行政関係者が出席できるような形をとる。そこで本学会の開催により、普段日本では得られない専門知識や、海外の視点について学ぶ機会を作ることを目的とした。
活動の経過
この学会は、半日巡検、半日発表という珍しい形をとった。
日程:
7月31日 別府に到着
8月1日 午前:湯布院、別府の温泉観光についての見学
午後:発表会( 立命館アジア大平洋大学、発表者10 人)
8月2日 午前:別府の町並み見学;宮島へ移動
午後:宮島において発表会(広島経済大学宮島セミナーハウス、発表者9人);島内の見学
8月3日 午前:厳島神社の見学、広島市内平和公園見学、岡山へ移
動
午後:岡山市において発表会(岡山コンフォートホテル、ベネッセコーポレーション関係者の講演)
午後:京都へ移動(国際地理学会への参加のため)
各見学には、日本国内の観光地理学専門家や、地域の観光協会などの案内と説明を含めた。
活動の成果
全体で36人が参加した。
まず学術的な成果であるが、「アジアにおける観光」、「ブランド化と商品化」、「観光と自然」、「ウェルネス、肉体と精神」、「経験、解釈及び管理」という五つのテーマで発表が行われた。発表者は日本を含めて13カ国からの研究者であった。各地域での発表会には現地の大学の学生と院生(立命館アジア大平洋大学、広島大学など)と現地の観光協会など観光関係者が出席した。
また、海外からの参加者に対して日本の観光の理解を深める成果もあった。初めて日本を訪れる参加者が多いことを考慮し、日本の観光の多様性を紹介するように、訪問地は温泉、門前町、花火という日本の伝統的な観光に加え、ダーク・ツーリズムやアート・ツーリズムという新しい観光の形態も経験できるように設定した。学会後に参加者に訪問地の評価をしてもらい、各地域でご協力をいただいた観光協会などに情報を提供した。
今回の学会は、世界地理学会観光・レジャー・グローバル変化部会と日本地理学会観光地域研究グループ、日本地理科学学会観光ワーキンググループが共催で行ったことも重要な成果であった。その結果、日本における観光地理学に刺激を与え、この分野の重要性をアピールすることができた。
学会の成果について、学術雑誌「地誌」の2014年6月号で集約を載せることとなった。また、日本とアジアに関連する発表を一部選び、立命館太平洋大学が編集している国際学術雑誌「Asia PacificJournal」に特集として投稿する過程に入った。
活動の課題
国際学術雑誌「Asia Pacific Journal」の特集号を完成させるとともに、学会参加者から得られた評価を効果的に活かすことが重要である。