瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

「豊かな島のこころの味」を通じた交流活動による地域づくり かめだや

かめだや 森島丈洋

実施期間

活動の目的

本プロジェクトの目的は「地域の人、特にお年寄りが『いきがい・やりがい』を持って、毎日楽しく笑顔で生きることができる地域づくり」を行うことです。豊島家浦岡地区も他地区同様、急速に過疎高齢化が進んで独居老人や空き家が増加の一途であり、自治会・消防団・地域行事などにおいても人手不足のために維持が困難になりつつあります。 そのような地域の中で、今一度、お年寄りたちを中心に「いきがい・やりがい」を感じながら毎日を楽しく笑顔で生きてもらうことが、地域に活力を与えることの第一歩だと考えます。その中で自分たちが生きる地域を見つめ直し、その地域が持つ魅力や可能性などを再認識し、自分が生きる地域に誇りを持ってもらい、自立・自律して生きていけるような地域を目指していきます。地域に活力があるということは、地域で日々生きる人たちが活力を持つことです。島内外の人は、その活力に触れることにより豊島へ目を向け、豊島の持つ「人・生活・自然・歴史・文化」などの魅力を体験して移住者やファンとなり、その人々の力を借りながら豊島に活力を持たせ続けることへとつなげていきたいと思います。 活力をなくしている地域の人が、様々な活動や交流を通して「いきがい・やりがい」を見出し、それが活力ある地域の土台となり、地域が抱える様々な問題の解決の糸口へとつながることを期待しています。

活動の経過

「かめだや販売会」
定期的な活動として、原則月一回の販売会を行いました。この販売会では、豊島の食材を使用した加工品を作り、自らで販売を行うものです。主に人の出入りが多い豊島の玄関口の一つである家浦港で行いました。本年は家浦港以外にも、島キッチンのテラスの輪というイベントや豊島美術館前にある棚田で行われた収穫祭に参加して販売を行いました。

活動の成果

「かめだや販売会」を通じて得られた大きなものとして、多くの地域の方にこの販売会が浸透し、毎回楽しみにしていただいている方が増えたことです。また販売を通じて多くの方と交流することができまして、販売する側も毎回楽しんでおり、まさしく活力が生まれました。販売も単独で行うだけでなく、他の組織やイベントと連携して、新たな出会いや可能性も多く生まれました。このような連携は、地域全体が活力を持つ上で、今後大きな力になると感じました。棚田の収穫祭では、呉汁(ごうじる)という大豆を使った郷土料理を提供したのですが、完売するほどの人気があって、郷土料理を多くの方に味わっていただけたのは嬉しいことでした。
「てしまのおやつワークショップ」には、地域のおばちゃんやおじちゃんだけではなく、移住者や子育て中のおかあさんなど、多くの世代に参加していただいて大盛況でした。講師としてお招きしたお菓子職人は豊島が大好きになり、ワークショップ以外でも何度も来島されておばちゃんの家に宿泊して交流を深めたり、豊島の食材を活用して自らのお店で豊島の紹介をしながら販売していただいたり、今も次に何ができるか一緒になって考えています。
ワークショップに参加した島生まれの若い女性が「島にこんなに美味しくてたくさんのフルーツがあるなんて知らなかった」と言っていたり、おばちゃんたちは「こんなに美味しいお菓子を豊島のフルーツを使って作れるなんて!」と驚いていたりしました。このようなことが聞けたことも、このワークショップの大きな成果だと思います。
「郷土料理のワークショップ」には、かめだや販売会を通じて知った味を自ら作りたいと思った方などが参加してくれました。おばちゃんたちが教える中で、参加してくれた若い移住者やお母さんと交流が生まれ、ワークショップ以外でもいろいろなことを一緒に行うようになりました。おばちゃんたちは何度も何度も作っては教えを請う若い人とのコミュニケーションを心の底から楽しんでおり、また郷土料理が一人でも多くの人に伝わっていくことが本当に嬉しかったようです。
「かめだや視察」では、できたばかりの地域のレストランや食堂に行ったのですが、レストランには地域の人が使える「公衆キッチン」があり、当団体がそれを活用してレストランと連携して地域を盛り上げていく話につながりました。食堂は移住した若い方が営んでいるのですが、おばちゃんたちに郷土料理や地域の食材のことを質問して新しいつながりが生まれ、それがきっかけで新たなイベントも行うことができました。「かめだやPR」では、新たにFacebookを開設しました。そのおかげで、様々な方との交流が格段にしやすくなり、また興味関心を持ってくれる多くの方に活動のことが容易に瞬時に伝わるようになりました。興味関心を持ってくれた方の中には、かめだや販売会のお手伝いをしに来てくれる方がいたり、取材に来てくれたり、豊島出身者の方と交流ができたり、具体的なことにつながったことも多くありました。

活動の課題

末永く続く活動を目指していますが、新たなメンバー、特に次の世代を担うメンバーの参加が思うようにできておらず、今後の活動の継続を考えると非常に厳しい現実があります。活動をしていく中で、多くの方とのつながりが生まれ、新たな可能性が拓けてきているのですが、現状ではそれを継続的に活動へつなげられておりません。今後は一人でも多くの方に活動の理念を理解してもらい、継続的に参加してくれるメンバーを増やしていけるような活動を行っていきたいと考えています。