活動の目的
瀬戸内国際芸術祭を粟島活性化の契機として捉え、砂浜と夕日のロケーションが素晴らしい西浜海岸に民家を借り受けて、芸術祭顧客に対し、粟島の素晴らしい自然環境と共に、粟島の土で有機・無農薬栽培して収穫した野菜と粟島の海域でとれる魚介類を中心にしたメニューを開発し、提供・サービスする「粟島サイレントファームカフェ」を開設する。食のサービスを通して、汚染されていない安全な粟島の土地・海の素晴らしさを、粟島の新たな可能性・食文化として紹介する。併せて島の特産品を積極的に開発販売し、瀬戸内国際芸術祭閉会以降の粟島の持続的活性化・仕事興しにつなげていく。他方、粟島サイレントファームカフェは、「食を共にすること」を通じての粟島島民の気軽なコミュニケーションの場にすると共に、瀬戸内国際芸術祭で島を訪れ、離島での生活に目を向け、新たな生活スタイルを模索する若者たちと島民との情報交換・交流の拠点として運営する。また、島外の共通の理念を持つ団体・個人、若者とは積極的にネットワークを構築し、未来を担う若者への粟島移住促進の受発信基地を目指す。
活動の経過
2012年2月 宮本晶音(27歳)彩香(23歳)夫婦が、大阪梅田でのホテル・レストラン・カフェ勤務のキャリアをベースに、粟島に移住。粟島サイレントファームを設立。西浜海岸に住居を借り上げ、カフェ開設に向けての環境整備にとりかかる。
1 2012 年3月 香川県三豊市詫間町粟島1131-3に「粟島サイレントファームカフェ」を開設すべく民家を借り受ける。
2 2012 年4月~ 島民より遊休地を借り受け日本固有種の野菜・ハーブ等の実験栽培に向けて整地を開始する。
(三豊市農政当局とも相談の上、島民と耕作放棄地の借り上げ契約を結ぶ。)
円滑な島内活動に不可欠な、粟島島民とのコミュニケーションについては、粟島社会福祉協議会・給食サービスへの参加、海浜清掃・道路保全、島の重要神事である「百々手祭り」への参加等々、地域の活動に積極的に参加し粟島島民として受け入れていただくことに努めてきた。
島内に向けての活動紹介とあわせて、インターネットを積極的に活用しての情報発信に努め、全国の新しい農業を模索する若者たちと交流し、ネットワークを広げてきた。
(URL:http://siaw.jimdo.com)
3 2012 年10月~ 秋蒔き野菜実験栽培開始
4 2013 年4月~ 借り受け民家周辺整備・内装整備に着手する。
5 2013 年9月 粟島サイレントファームカフェ仮オープン
6 2013 年10月 瀬戸内国際芸術祭 粟島会場開幕
粟島サイレントファームカフェオープン サービス開始
7 2013 年11月 瀬戸内国際芸術祭 粟島会場閉幕
活動の成果
1 粟島での日本固定種野菜の実験栽培の結果、粟島の土壌の特質が分析できた。
a) 夏なす:7月上旬から実をつけだし、11月上旬まで花実共についた。2012年に栽培成功した馬鈴薯・下記のトマト・いずれもナス科の植物であるため、今回使用した土壌はナス科の植物とはとても相性が良いと考えられる。
b) 糖度の高いトマトの栽培ができた。主な理由として、粟島の土壌は潮風を浴びているため、土壌中にトマトに適した塩分があると考えられる。
c)パン小麦:日本での麦栽培は主に、水田(稲)の裏作として作られるが、粟島には現状水田はない。そこで、畑で実験的に栽培した。結果、種採りまでに至り、今後この方法を用いれば栽培は可能だと自負している。そもそも麦は、冒頭述べたように水田の後に栽培するが、多湿を嫌う植物なので畑での栽培のほうが向いているのかもしれない。
2 粟島サイレントファームカフェオープンに向けて、建物の外壁に、大阪在住のグラフィックアーチスト・諸戸美和子さんに壁画作成を依頼し、瀬戸内国際芸術祭の地元作成参加作品として紹介できた。
3 島外に向けての活動紹介の成果として、
a) 大阪大学人間科学ゼミナール開講
b) くらしき作陽大学ヴァイオリンゼミナール開講
c) 香川大学経済学部サマーゼミナール開講
等々の誘致ができた。
4 瀬戸内国際芸術祭開催時の粟島サイレントファームカフェ営業により
a) 320 名のお客様に来店いただけた。
b) 来店いただいたお客様とは、FaceBook 等のソーシャルネットワークでつながり、瀬戸内国際芸術祭の広報とともに、粟島の広報にも寄与できた。
5 瀬戸内国際芸術祭開催時の粟島サイレントファームカフェ来店の多くのお客様より寄せられた、「日帰りではなく、ゆっくり島で滞在できたら・・」というご要望に次回の瀬戸内国際芸術祭までにお応えできるよう、粟島のゲストハウス「サイレント・ハウス」開設プロジェクトをスタートできた。
6 平成25年度 香川大学地域インターンシップ活動計画と、本格的に取り組むことが決定できた。
活動の課題
1 粟島での日本固有種野菜の栽培については、野菜の収穫より、種の収穫・育苗に力点をおき、収穫については他の島との連携を図っていきたい。
そのためには島内で、現状より周辺に畑が少なく、在来種との交配の懸念のない遊休地を確保したい。
2 粟島サイレントファームカフェでのサービスメニューについて、島内食材の確保が課題なので、次回瀬戸内国際芸術祭開催に向けては、島内の養殖業者の方々(鯛・ヒラメ・カキ等)と連携が取れるよう努力したい。
3 行政との情報共有を深めたい。
4 持続的に活動し、島の将来の活性化に寄与して行くには、活動参加者の経済基盤の確立が不可欠。
粟島ブランドを確立し、活動の事業化・収益化に向けて努力しなければならない。
5 私たちの活動の発信を通じて、できれば島外からの移住者を増やし、過疎化、高齢化の阻止の一助としたい。