瀬戸内海地域振興助成成果報告アーカイブ

手島発見親子塾

丸亀市手島自然教育センター協力会 藤原當正

実施期間

活動の目的

丸亀市の手島で手島自然教育センターを含めた島内の施設等を活用し、手島の人たちの生活や文化を知り、感じてもらい、今後の交流活動や生活文化の伝承について進めていく活動の発端としています。

活動の経過

実行団体の手島自然教育センター協力会を中心に、手島自治会にも協力を得て、どのように手島の生活や自然を島外の人たちに伝えるか、また、伝えることについて、手島に住んでいる人がどう関わっていけるかを協議していきました。
その結果、手島に住んでいる人たちが、手島の材料で調理して食べていた「ところてん」やサツマイモの菓子の「芋もち」を調理しながら、昔からの地産地消で身近な食材からのおやつ作りや、その材料であるサツマイモ掘りも体験してもらう。次に、手島で春・夏に行われる伝統行事である「島八十八カ所参り」をその謂れを聞きながら実際に歩き、島の人たちが伝統行事を継続している姿を知ってもらう。また、島の自然を体験するため、海岸に行き、漂流物を発見してもらい、瀬戸内海の状況を知ってもらう。また、島内を散策する中で島の自然を感覚で掴んでもらうことを計画し、また、島民がどのようにそれをサポートしていくかを検討しました。
第1回目は6月18日に予定しておりましたが、台風の影響が予測されたために、7月6日に延期し、開催しました。丸亀市内の小学校に親子塾の開催要項を配布し、参加者を募り、結果として大人8人と子ども12人の参加となっています。
1回目は、自然を知ってもらうため、参加者へのきっかけをどう持っていけるか、また、感じた自然をどう持って帰れるかということを目的に取り組みました。
実際には、手島の自然を知る活動として、土器を拾うことができる高洲海岸への途中、アカテガニなどの自然生物を観察し、高洲海岸では漂流物を探し、イカの甲や生活用品の容器が流れ着いている状況を観察しながら、手島の潮流について知ってもらいました。
また、漂流物でのクラフト作りにより、親子塾として、残せる物を参加者自らが作成することで、体験が持続することを目指しました。漂流物として流れてくるなどして、採取することができる天草(テングサ)を材料として作るトコロテンをおやつにして、海の恵みと島の生活の関係も食を通して学んでいます。トウモロコシの収穫を行う中で島での農業も体験しました。このブログラムでは、手島への来島者に、島の人たちがきっかけづくりを行うことができれば、その素材(漂流物など)に積極的に関心を持って自ら活動することがわかり、案内することが難しくないことが確認できました。
第2回目では、民俗行事として長らく続けてきたお大師詣りをどう伝えるか、活用できる準備物の作成、手島の竹を活かすクラフト作りで、どう手作業を伝えていけるかが目的でした。
内容はお大師詣りとして、手島に定着している民俗行事を知っていただくことを主にした活動となっています。お大師詣りの道については、夏のため当日までの準備を自治会にお願いし、また、八十八カ所を全てまわることは困難なため、事前に地図とコースを決めることも春のお大師詣り時に調整することができました。
今回は、民俗行事としての意味を知ってもらうために、お詣りをしながら、石碑等の説明や手島の文化財の寺院について、案内し説明をすることを体系的に行うことができました。手島にある竹についても竹細工作りの実践をいかに指導するかを協議していくなかで、作成がしやすい器と箸作り、そして、作成しながら、音を自分で調整するうぐいす笛作りを行いました。参加者からは、暑い中、八十八カ所でそれぞれ島の人たちのお接待に接して感謝の気持ち、竹製品の制作については親子での共同作業の面白さの感想がありました。
第2回目は、歴史的な意味を知ってもらうためにマップの作成や、八十八カ所の説明については、外部の人の協力を得ることにより準備ができ、今後、その資料を活用することにより、来島者にもわかりやすい案内ができる体制ができました。
第3回目は、島での菓子として、長らく作られていた「芋もち」作りを参加者に体験してもらうことを主としました。
芋もち作りの目的は、昔は身近な食材を使用して、自分たちでおやつを作っていた島の楽しみを体験してもらうことです。それと島の人たちが参加者との協働作業をうまくリードすることも目的としました。
もちを丸めるところからでなく、蒸らして、杵でつくところから参加者が積極的に関心を持ち、「芋もち」作りに参加し、特に子どもたちは手順よく菓子作りができていました。身近な食材について、より知ってもらうために、実際にサツマイモの収穫も体験しました。サツマイモを収穫するには、より収穫しやすいコツを身に付けることが大切なことも知ってもらいました。

活動の成果

今まで島に住んでいる人たちは、島外者の観光客が来たときも道案内はしていましたが、島民として、どのようなことを知ってほしいかが整理されて、手島の紹介が体系的にできることがはっきりしたので、今後の観光等で来られた人たちへのアブローチや準備すべきこともはっきりしました。
参加者からのアンケートでは、親子で日頃できない体験をする楽しさがあったという内容が印象的であり、子どものみのイベントづくりより、親子での参加ができる内容づくりを検討することが成果として受け入れられました。

活動の課題

今後の課題としては、まず、この活動の中で、協力会として体験したことを系統づけ、その季節に合わせた研修を行うなど、もう一歩進んだ取り組みを検討することです。
次に、助成があってできたことを、助成を受けなくてもできるようにしていく財政基盤の確立が必要です。
最後に、来島者へのアプローチも含めて、島内の人以外のボランティア的な支援ネットづくりがあればより広がると考えられます。