活動の目的
高松市円座町には古い二つの文化があります。ふるさと円座の地名は、古代より貴重な特産品である「菅円座」から名付けられたと言われています。菅を素材に作られた円形の敷物は「讃岐菅円座」と呼ばれ、古くは朝廷において広く愛用されていました。菅円座の始まりは、奈良時代景行天皇の皇子、神櫛王が讃岐の国司として赴任の折、皇子に従ってきた武蔵国西郷の葛西重経が始祖とされています。その技法は「一子相伝 門外不出」とされていました。
初代高松藩主、松平頼重公は、讃岐特産の菅円座の技法を高く評価され、歴代の高松藩主は「御用円座」として徳川幕府に献上し、現在はふれあい交流事業で、復元制作講座が開かれており地域の宝として後世に残そうと、継承活動が行われています。
もう一つはデコ人形です。創始は天保4年(1833年)人形を遣って芝居をした一座が結成されました。この芝居は「永井のデコ芝居」と呼ばれていました。
江戸末期に円座のデコ芝居を知った高松藩の松平頼該公(金岳公子・左近)が屋敷内で上演を許し、末永く保存せよと援助奨励されました。人形は頭・手・足から成り、大変精巧に作られ、格調高い芸術作品です。人形には、阿波源之丞型「初代天狗久」の焼印が押されており、阿波の人形師天狗屋久吉の名人作です。
昭和37年保存会が結成され、昭和37年香川県有形文化財、平成16年無形民俗文化財に指定されました。円座のデコ芝居は、若い人たちへの継承活動として、平成9年より地域ふれあい交流事業で、地元円座小学校ではデコ人形についての講習や実技指導を行い、伝統文化に親しみながら、ふるさとへの誇りを喚起し、創造性や感性豊かな人間育成の一つとなるよう努めています。この人形芝居は円座の誇る郷土芸能で、浄瑠璃の三味線(師匠)の育成は難しいことですが、現在は人材が見つかり本場徳島へお稽古に行っています。
昨年の平成25年(2013年)は創始からちょうど180年の節目となることから、記念事業として、地域と保存会が記念公演を行うことにより伝統芸能の継承活動の大切さを知ってもらうことで、地域の活性化のために協賛イベントを実施して地域文化の発展を目的としました。
活動の経過
平成25 年(2013 年)は創始180 年になることから、定期練習日において企画会議及び校区コミュニティ協議会(ふれあい交流事業)において企画立案することとしました。
3月 第1回 企画会議 香翠座メンバー1名 コミュニティ協議会役員 5 名
4月 第2回 企画会議 香翠座メンバー12 名 コミュニティ協議会役員 5 名
5月 第3回 合同企画会議 香翠座役員・コミュニティ協議会役員・円座小学校・円座幼稚園・円座百華保育園
6月 第4回 合同企画会議 ポスター・チラシ作成について、ポスター、スチール撮り・ポスター、チラシ発注
8月 ポスター各地区掲示、チラシ配布、地域ふれあい、コミュニティ協議会、合同会議
9月 招待者案内状送付 コミュニティ協議会(ふれあい交流事業)
文化広報部会担当者打ち合わせ(役割分担)
10月21日 RNC 西日本放送ラジオ「きままにラジオ」生番組に出演
180 年記念事業をPR
10月25日 創始180年事業・文化祭準備作業
10月26日 創始180年事業・文化祭実施
活動の成果
「伝統文化にふれる日」としてこの度の香翠座創始180年記念事業は、校区文化祭・協賛イベントの合同の開催となりました。子どもから大人まで広く多くの地域の人々に、大変喜んでもらえたと思います。オープニングの和太鼓の迫力ある演奏、津軽三味線と和太鼓のコラボレーション、ピエロの大道芸による愉快な飛び入り参加の子どもとの演技、最後は地元円座小学校の金管バンドによる演奏等、何回もアンコールの声があり大変盛り上がりました。古くから伝わるデコ人形芝居によって、郷土の伝統文化を知ってもらえ、協賛イベントは大成功だったと思います。今後も地域文化の活性化のために積極的に活動をしていきたいと思います。
活動の課題
座員の確保(後継者育成)と集客力
現在、座員の高齢化が進んでおりますが、積極的に公演活動するためには、演目によってはフルメンバーでないとできない状況であります。浄瑠璃は特に、師匠(三味線弾き)の育成は非常に難しく2年前より徳島へお稽古に行っています。一方文楽という古い芸能のため、若い人たちには、最初から取り組みにくく、演目も江戸時代の世話物など物語、あらすじを知らない人たちがほとんどだと思います。
そこで2年前より公演には、写真の掲載と簡単な解説、及びあらすじのチラシを作成し配布を実施しています。