活動の目的
国内外から芸術家を京都府京丹後市へ招聘し、レジデンス交流および文化芸術プログラムを実施することで、地域に先駆的な芸術と多様な価値観が存在する場を創出し、開かれた地域社会の形成を目指している。運営には、丹後を拠点とする芸術家や地域の若者が参加し、地域における芸術文化の国際的な振興を推進している。
活動の内容
① ART CAMP TANGO 2016 リサーチ・レジデンス
国内外のアーティスト、文化芸術に関わるディレクター、オーガナイザーが丹後に滞在し、リサーチや地域住民との交流を行った。
日程:2016年8月18日(木)-25日(金)
関連企画:8月20日「Sunset Sound Walk : 夕日ヶ浦 音さんぽ」ALL Tango共催(京丹後市網野町浜詰)
② ART CAMP TANGO 2016リサーチ・レジデンス報告会「音をめぐる場と表現 - around sound and site-specific」
成果報告会として、レジデント・アーティストによるパフォーマンスやディレクター・オーガナイザーによるトークイベントを開催。丹後での活動、次年度の継続的な開催へ向けた展望を紹介した。
日程:2016年8月28日(日)
会場:京都芸術センター(京都市中京区)
③ ART CAMP TANGO×sound project「おとづれ」
2016年の報告および2017年度へ向けての展望を紹介するプレイベントを開催した。
日程:2016年12月10日(金)
会場:京丹後市網野町 P-four
参加作家、参加人数
・リサーチ・レジデンス&報告会 参加アーティスト:Samson Cheung、Fiona Lee、Frank Tang(soundpocket, 香港)/大城真、木村玲奈、鈴木昭男、宮北裕美、山崎昭典、
・ディレクターズトーク登壇:Alice Wong( NPO soundpocket)、勝冶真美(京都芸術センター)、吉田雄一郎(城崎国際アートセンター)/青嶋絢、川渕一清、宮北裕美(ART CAMP TANGO)
・2016年度プログラム参加者数:440人
他機関との連携
共催:NPO soundpocket(香港)、京都芸術センター(リサーチレジデンス報告会)
協力:城崎国際アートセンター(豊岡市)、ふるさと未来ステーション月庭、ALL Tango
後援:京丹後市、京丹後市教育委員会
活動の効果
国際的に活躍するアーティストが丹後に一定期間滞在することにより、アーティストと地域住民の相互交流が自然な形で起こり、地域の魅力や価値観を再発見することにつながった。また、ウェブメディアなどを活用し、丹後の魅力を国内外へ広く発信する機会となった。運営面においては、丹後を拠点とするアーティストや地域でまちづくりを行う若者が主体となり、香港のアートNPOや文化芸術の専門家の協力を得たことで、丹後と都市部をつなぐ人的ネットワークが形成され、先駆的でありながらも、地域に根ざした事業を展開している。
活動の独自性
本事業では、「音」を主軸として丹後の自然や人の営みを体感することで「聴くこと、見ること」について再考を促す芸術プログラムを行ってきた。このように「音」に特化したアートプログラムを地方で行う取り組みは、全国的にみても独自性が高い。また、香港のアートNPO soundpocketと連携することで、アジア地域からサウンド・アーティスト、音楽家、美術家、ダンサーなどさまざまな分野の芸術家を招聘し、国際的に事業を展開してきた。さらに日本海沿岸地域の歴史や文化といった丹後ならではの文脈にも着目し、丹念なリサーチ活動への取り組みを行っている。
総括
2016年度は、2017年に向けてのリサーチ・レジデンスが主たる目的であり、丹後でのプレゼンテーションは実施しなかったが、次年度に向けてじっくりとリサーチに取り組むことができた。レジデンス最終日には京都芸術センター(京都市)でレジデンス報告会を開催した。プログラムを丹後地域外で紹介することによって、より広く、多くの方々に本事業を知っていただく機会となった。
新たな取り組みとしては、アーティストの招聘に加え、芸術文化施設や団体を運営するディレクター・オーガナイザーを招聘し、アーティストとともにレジデンス滞在を行った。このことによりプログラムの企画や運営面について、さまざまに意見交換が行われ、文化芸術の運営に携わる人材のネットワークをつくることができた。
次年度は、リサーチを元にレジデント・アーティストが制作を行い、その成果を展覧会、パフォーマンスとしてより多くの方々にご覧いただく計画である。さらにアーティスト、地域の運営者、参加者などの相互交流を促すことで、丹後に新たな人の流れをつくることを目指したい。