活動の目的
広島県尾道市から船で40分に位置する離島百島で、人口減少と高齢化に伴い増加している空き家や耕作放棄地を、アートともに田舎体験ができる五右衛門風呂とアートを主役とした宿泊施設に改修、島民や建築系大学と協働で作業を行い、来島者と地域住民をつなげる交流の場を創出し、地域再生を目指す。
活動の内容
① 広島大学、工学院大学の教員と学生を招きレクチャーを行い、廃屋の再生と活用に関してのワークショップを開催。
② 廃屋の改修工事開始。作品展示を予定している土蔵部分を中心に、大工の心得のある若い移住者が参加して、老朽化した屋根や床面の工事に着工。ART BASE百島の廃校、廃屋改修に興味を持つ芸術家や移住希望者が協働で廃材の処分や整理清掃を行い、改修工事の時点から地域住民と来島者の交流の活性化を促す。
③ 美術作家の西野達の講演会を尾道市光明寺會館にて尾道市立大学と連携で行い、地域を活用した現代アートの必要性と創造力を再認識することで、百島という土地を軸に非日常的な体験を可能にする宿泊施設完成を目指す。
実施場所:ART BASE 百島、百島町乙1731
参加作家、参加人数
柳幸典、西野達、工学院大学(東京)、広島大学(広島)、島民、他。
① 70 名
② 40 名
③ 40 名
他機関との連携
広島県、尾道市、工学院大学や広島大学などの教育機関との協力事業の強化、尾道市立大学とは連携して講演会を行った。
活動の効果
百島の課題であった宿泊施設の整備により、今後の来島者や移住希望者の増加の足掛かりになることが期待できる。また若い美術家や建築学生が興味を持ち訪れて、廃屋の改修作業を通じて協働することで、交流人口の増加とともに、地域住民と継続的な交流を図りながら作業を進めることに成功している。
活動の独自性
田舎の象徴的主役である五右衛門風呂を設置した宿泊施設を想定し、国際的に活躍するアーティスト柳幸典と西野達のアーティスティックな監修による廃屋改修作業を建築系大学の研究室や百島の若い移住者と進め、アートツーリズムによる来島者の増加と地域社会の再生を目指す活動である。加えて、国際的なアーティストが尾道で講演を行い、地域でしか実現しえない現代アートの重要な要素を示すことで、地元大学生や住民に他にはない学習機会を設けている。
総括
離島である百島が抱える人口減少や高齢化、耕作放棄地という地域課題の解決に向けて、若い移住者やツーリストの増加を目指す。そのためには百島が宿泊施設を有するというのは必須条件であり、地域資源や文化を重んじた田舎体験とアートを融合させた「五右衛門風呂の家」を実現させるため、廃屋改修に着工した。広島大学、工学院大学の建築系研究室、島の若い移住者や東京など県外からの芸術家や移住希望者と協働することにより、地域住民とのコミュニケーションも増加し、百島島内の活性化にもつながった。また、継続性をもった宿泊施設とするために不可欠である地域との連携においては、本事業スタッフが百島に住み、日々コミュニケーションをとることで島民との相互理解を深め、本事業の有用性の共有に努めている。
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廃屋の再生と活用に関して島内でワークショップ
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芸術家、移住希望者と協働で内装の改修、清掃
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光明寺會館での芸術家・西野達による講演