活動の目的
2014年に豊島で手芸をする母を約14名発掘した。母らは国際芸術祭の来訪者を歓迎したいということから、神戸のおかんの協力のもと、豊島で展覧会を開催するとともに、神戸では、2014年より構築したおかんと若手クリエーターが集い、複数の空間資源で展示・教室を行い、地域内の手芸拠点のネットワーク化と創作交流を目指した。
活動の内容
2016年8月7日(日)、8日(月)に開催した「豊島おかんアート展2016盛夏」では、家浦岡老人会の活動拠点である「つどいの家」を会場として、家浦岡老人会の母らが手芸作品の展示と豊島名物である冷やしそうめんで国際芸術祭の来訪者を歓迎した。2日間で約300名が国内外から来訪した。国外からは、アメリカ、フィンランド、フランス、デンマーク、アルゼンチン、台湾、韓国、などからの来訪者があった。
2016年12月3日(土)、4日(日)に開催した「おかんアートとハンドメイド展」では、地域内の複数の会場で、神戸のおかんをはじめ、老若男女の作品、陸前高田市の母らの作品を展示し、教室を開いた。2017年も複数の活動拠点をネットワーク化した。
実施場所:香川県豊島、兵庫県神戸市兵庫区
参加作家、参加人数
2016年8月7日(日)、8日(月)開催した「豊島おかんアート展2016盛夏」は、家浦岡老人会の14名の母が主体者となり企画・展示・調理を行った。2日間で約200名が来訪した。
2016年12月3日(土)、4日(日) 開催した「おかんアートとハンドメイド展」には、老若男女の作家と若手スタッフの計40名がスタッフとして参加し、2日間で550名余りの一般客が来訪した。
他機関との連携
豊島での展覧会では、家浦岡老人会と連携するとともに、釜谷紙業株式会社(本社:姫路市)からストーンペーパーの提供を頂いた。神戸での展覧会は、神戸市婦人団体協議会、NPO法人輝支援センター神戸/神戸ママネット・あじさい倶楽部と連携して行った。
活動の効果
国際芸術祭の来訪者を手芸作品の展示と料理で歓迎したことで、豊島の母らが来訪者の喜びを実感できた点は効果があった。
神戸では、「おかんアート」をキーワードに集う老若男女が年々拡大し、展覧会を企画・運営に加え、他地域の活動主体を応援する体制が整い始めるという効果が得られた。
点在する手芸拠点をイベントによりネットワーク化する実験をきっかけに、空き資源の連鎖的活用グループが結成されるという効果も得た。
活動の独自性
神戸のおかんが遠征し、豊島の母が、島での芸術の担い手として主体的に瀬戸内国際芸術祭の来訪者を歓迎する方法を企画、実施した。特に、5体の「かかし」を豊島の母が協働で制作し、会場を設けた点は、芸術の担い手としての自覚の現れと捉えることができる。神戸では、「おかんアート」をキーワードに、老若男女が協働して展覧会を企画・運営し、文化の担い手として他地域の活動主体を応援する体制が整い始めた。例えば、2017年3月には、神戸の老若男女が遠征し、陸前高田市の母らによる展覧会を開催した。このように、多様な主体が知らぬ間に活動の担い手となっていく「文化の担い手育成プログラム」を、展覧会という形態に盛り込む点に独自性を持つ。
総括
豊島家浦岡老人会の方々をはじめとする手芸の創作活動を長年続けてきた方々にとって、長年の希望であった国際芸術祭の来訪者を手芸作品の展示と冷やしそうめんにより歓迎することができたが、今後多様な主体者を巻き込み、活動を継続するためには、地縁の濃い島の方々だけでなく、島の外部から参加するスタッフの必要性を感じた。地域おこし協力隊のような外部からの人材がこのようなニーズの受け皿になると考えられる。
神戸では、手芸や工芸など創作活動を行う老若男女によるコミュニティーが展覧会の企画・運営・実施を通して形成されはじめている。多様性が担保されたコミュニティーであることから、今後も多様な主体を巻き込んで活動が継続すると思われる。今回新たに、地域内に点在する手芸の活動拠点をネットワーク化する試みを行ったが、元洋裁店や企業の駐車場といった空き資源の活用実験の一環として手芸の展覧会や教室を継続的に展開することになったことは、手芸や工芸といった人的資源と、空き資源といった空間資源の組み合わせによる地域資源の再編を進めていくことにつながると考えられる。
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おかんアートとハンドメイド展第2会場にて
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豊島おかんアート展の様子
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おかんアートとハンドメイド展第1会場にて