アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

復興 未来の希望芸術祭 奥松島 奥松島えんずのわり楽校~アートの力で東日本大震災のえんずのわりを追い払え~

未来の希望プロジェクト奥松島

実施期間
2015年4月~2016年3月

活動の目的

東日本大震災で、奥松島を訪れる観光客は激減した。12軒あった民宿は、5軒しか再開されなかった。観光客に来ていただき、従前の生活を取り戻すことが、この活動の第一ミッションである。

活動の内容

「奥松島えんずのわり楽校」を開校し、芸術家と一緒に作る子どもたちのアートの力で、被災地を元気にしていきたいと考えている。「えんずのわり」とは、方言で、「意地の悪い」ことを意味し、農作物を荒らす意地の悪い鳥を追い払う奥松島の小正月の行事である。子どもたちが主役の鳥追いの行事である。東日本大震災の大津波で、たくさんの人にもたらされた「えんずのわり」を、子どもたちのアートの力で追い払いたいと考えている。楽校のワークショップは4日間行われ、たくさんの子どもたちが参加してくれた。子どもたちは、えんず玉や流木アートを楽しみながら、「えんずのわり」を追い払う魔物をたくさん創り出してくれた。作品は、奥松島の大津波で流された集落にある五十鈴神社を中心に飾り付けて、多くの方に見ていただいた。
実施場所:奥松島(宮城県東松島市)

参加作家、参加人数

参加作家 阿部雄氏、早川美喜子氏
参加人数 奥松島えんずのわり楽校 延べ120人
東松島市宮戸 五十鈴神社 展示 延べ1,000人

他機関との連携

東松島市や蔵しっくぱーくの広報紙に、「奥松島えんずのわり楽校」開催のお知らせを掲載していただいた。地元新聞社に取材に来ていただいた。

活動の効果

青葉城恋歌のさとう宗幸さんが司会を務める宮城県の人気番組「OH!バンデス」が取材に来られ、多くの方に「奥松島えんずのわり楽校」の取り組みを知ってもらうことができた。多くの方に明るい話題を提供できたと思う。

活動の独自性

「えんずのわり」は、東松島市宮戸に江戸時代から伝わる小正月の鳥追いの行事である。この行事にならい、子どもたちのアートの力で、東日本大震災で多くの方にもたらされた「えんずのわり」を追い払い、多くの方に笑顔を取り戻してもらうことが、この活動の独自性である。また、アートづくりに子どもたちに積極的に参加してもらうことによって、自分たちのアートが交流人口を増やし、復興に役立つことを知ってもらうことで、自信をつけさせてあげることも、この活動の独自性である。

総括

「奥松島えんずのわり楽校」を通して、子どもたちからたくさんの素敵な笑顔をいただくことができた。スタッフも、その満面の笑顔に癒された。子どもたちの笑顔の大きなチカラにあらためて感心させられた。
えんず玉づくりでは、子どもたちが「えんずのわり」をびっくりポンさせて、退散させる魔物をたくさん考え出してくれた。えんず玉は、大津波により破壊された集落の真ん中に残った五十鈴神社に奉納し、展示した。夜、街灯もない真っ暗な中にLEDで子どもたちの絵が浮き上がると、大津波で亡くなった多くの方を供養しているようであった。
流木アートは、子どもたちが流木の形を生かしながら、恐竜、動物、飛行機、アロマロカリス、魔物を創った。しかし、創ったモノは、子どもたちにとって宝物となってしまい、みんな持ち帰られてしまった。うれしい誤算である。
子どもたちと芸術家のアートがコラボし、多くの方に見に来ていただくことができた。

  • えんず玉完成!

  • 宮城県の人気番組「OH!バンデス」の取材を受ける

  • 奥松島の五十鈴神社近くの洞窟に流木アートとえんず玉を飾った