活動の目的
アートを媒体に典型的な里山・里海文化を有する奥能登に埋もれた多様な文化を再発掘し、伝える。同時に環日本海文化、および大陸へと向かうアジアの文化を検証し、今後の可能性を探る。
活動の内容
① 廃校となった小中学校をレジデンス施設として整備し、美大生の研修開催。
② 現地集落2箇所にて竹ドームを使用したイベント「上黒丸越冬隊」を敢行。
③ 冬の景色を探訪する「幻の山に登る」と現地ボランティアと食による交流会開催。
④ 「冬のバスツアー」を開催。
⑤ 古からの伝統である鯨漁に注目した第二回「鯨談義」を開催。
⑥ 珠洲市文化祭への参加。
実施場所:石川県珠洲市若山町上黒丸地区
参加作家、参加人数
金沢美大学生、およびOB。環日本海文化をキーワードに北海道および九州から招聘したアーティスト、人類学チーム。地元漁業関係者、農業関係者。
参加総数約600名
他機関との連携
*珠洲市、金沢美術工芸大学が包括協定を提携し、バックアップ。*地域の活動拠点「上黒丸すてきな散歩道実行委員会」との連携、他
活動の効果
*廃校小中学校のさらなる活用。*消えかけている伝統文化の再興、復活。*地域の美しい里山の保守活動への展開。*閉ざされた閉塞感のある場から温もりのある人間交流の場への転換。*アーティストの移住によって新たな価値創造の発火点となる。*環日本海文化の中心的拠点としての位置付けとその意義の確認、発展。*奥能登全域を視野に入れた国際展開催への実験活動と啓蒙。
活動の独自性
*奥能登に於ける初めての現代アートによるプロジェクト。*能登半島先端、唯一海に面しない珠洲市の山中。その特徴を活かし、波状的に広がる活動のプラットホームとしての役割を担う。*金沢美大との地域連携協定による協力体制。*2017年度の国際芸術祭の先行的、啓蒙的な活動。
総括
金沢美大の学生中心で、多くの催しが重複している状況対応として、今年度は冬に特化した形での実験的プロジェクトを行った。3年目の活動の成果もあり、さらにレジデンス環境、学生たちの研修環境、そして地域の方々の活動拠点としての環境が一段と整備されたことは大いに評価できる。また、国際展開催決定に際し今後、行政主導のアートプロジェクトのための先行モデルともなった。今後は、さらに活動を支える人材育成、長期ビジョンに基づいた継続可能な活動基盤と多ジャンルの力を交差させた連携の充実、国際展との連動、他地域との関係作りを行いたい。
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「上黒丸越冬隊」
移動型竹ドームによる宿泊体験と地域交流会
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「冬を通る」
竹和服生地を使用した竹によるインスタレーション
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第二回「鯨談義」
昔ながらの生業を継承して来た方々との車座談義