活動の目的
島民が連綿と受け継いできた「生きられた文化」が、どのような社会・文化状況のもとに置かれてきたかを複眼的に考察し、記録保存し、さらに共有する目的の展覧会へと繋げていく。
活動の内容
・漁具について地元の漁師への聞き取り調査。
・大谷将とともに豊島凧の製作者木村豊一氏に制作手順についてのリサーチ。
・唐櫃浜地区の盆踊りの撮影。
・美術家藤井光氏、写真家宮脇慎太郎氏、音響エンジニアシライセイジらとともに、現在の島と人々の映像と音声の記録。
・浦中ひとみとともに島のオーラルヒストリーを収集、編集し、ポストカードを制作。
実施場所:香川県小豆郡土庄町豊島全域
参加作家、参加人数
参加作家:藤井光、宮脇慎太郎、シライセイジ、大谷将、乗松真也、浦中ひとみ、安岐理加
他機関との連携
個人を対象とし生活の現場からのオーラルヒストリーをより深く収集することに重点をおいたため、当初予定していた小中学校とともに行うヒアリング作業は、学校カリキュラムとの調整がつかず実現できなかった。
活動の効果
島の戦前、戦中、戦後を生きた80代、90代の方々を対象とする、長期間、数回のヒアリング、島在住の青年団が中心となって運営する盆踊りについての映像記録、現在処理中の産業廃棄物投棄現場の撮影を実施する等、現代における島の多様な現状について、主に、映像とヒアリングでの記録活動を行った。この活動により、今後さまざまな方々と共有できる資料を遺すことができたと感じている。
活動の独自性
当プロジェクトは、イベントを軸としたプロジェクトではなく、島民が連綿と受け継いできた「生きられた文化」が、どのような社会・文化状況のもとに置かれてきたかを記録保存し、複眼的な考察の作業のもと、サイトスペシフィックな芸術の確立を目的としている。
また、それらの映像や造形をもとに、2016年度は展覧会を開催することでさまざまな人々との共有を目指すものとする。
総括
本年度は、さまざまな地元住民と専門家らの協働で、現代における島の多様な現状について、リサーチし記録する活動を行った。また、それらを美術の文脈で捉え直し、展覧会を構築する目的を持って挑んだことで、近隣の作家と招聘作家との新たな関係性を結ぶこともできた。
しかしながら、当初予定していた上映会については、サポートするスタッフの不足とリサーチの事業に重点を置いたため実施に至らなかった。
上映会については2016年度、展覧会開催と連携し行うものとする。
-
藤井光、宮脇慎太郎、シライセイジらを招聘
-
古い漁具のリサーチ
-
豊島凧の制作のリサーチ