活動の目的
沖縄県那覇市のまちなかを舞台に、アジア近隣から若手作家を集め、地域との交流によるアート創出プロジェクトを開催し、アートによるアジア交流によって地域文化の活性化に寄与する。
活動の内容
7月から活動準備を始め、9月より約2カ月間にわたり「アジアン・コミュニケーション2015」と題し、台湾、韓国から3名の若手作家を招へいし、沖縄県那覇市のまちなかにてリサーチ、レジデンスによるプロジェクトを行った。それぞれの作家たちが那覇市のまちなかに溶け込み、地域一般市民を巻き込みワークショップやレクチャー、インスタレーションによる作品展示など地域との交流によるさまざまなイベントを行った。
実施場所:沖縄県那覇市泊3-4-13(沖縄コンテンポラリーアートセンター)およびその周辺
実施期間:9月25日/陳佑而によるワークショップ「Let us become one 」および作品展
10月10日/金美羅「韓国のオルタナティブスペースの紹介」トークイベントおよび作品展
10月25日/黄建樺「コラージュワークショップ」および作品展
参加作家、参加人数
参加作家は、台湾人留学生、陳佑而によるワークショップ「Letus become one」、韓国人作家、金美羅によるイベント・展示「ICE BREAKERS」、台湾人作家、黄建樺「コラージュワークショップ」を中心に那覇市在住の地域一般市民を含め総勢1,200人ほどの参加になった。
他機関との連携
公益財団法人 沖縄県文化振興会、沖縄県立芸術大学、沖縄こどもの国を中心とした連携による活動となった。
活動の効果
沖縄県には県立博物館・美術館はあるものの、ギャラリーやオルタナティブスペースなどの地域の方々がアートの見聞きを可能とするインフラが整っていない状況にある。那覇市のまちなかにそのような新たな「場」を創出することで、地域一般市民の方々との地道な交流から少なからず地域文化の活性化につなげていくきっかけができたのではないかと思っている。
活動の独自性
古来琉球王国の、東南アジア、朝鮮半島に至るまで「万国津梁」の考えから導き出される沖縄をハブとした汎アジアのアートネットワークを形成し、アートを通じ、官民の協働、地域への貢献などを経て若手作家の発掘、育成をサポートしていく。また、沖縄の文化的独自性やローカリズムを再考するうえでも、展示空間の確保や地域一般の方々がアートに接する機会の創出を継続して行っていきたいと考えている。
総括
地域、市民とのプロジェクトやワークショップ、トークイベントを開催するにあたり、一言で「地域・市民」とまとめることができない点が見えた。どの層へどのようなアプローチが必要かを具体的に提示しなければならない必要性を感じた。地域のリサーチ、情報収集を入念に行い、提供していけるプログラムの考察が課題となる。特に対話型プロジェクトでは、対象者の年代が幅広いため、進行ペースをコントロールしにくいところがあり、ファシリテートの重要性とその経験を深めることが必要だと感じた。また、地域との協働によるアート創出が、アートを含めた文化発展の本質の一端であることをあらためて感じさせられた。