活動の目的
現代アートを媒介とした活動を通じて、小学校を基点(小学校校区を単位とした)とした地域コミュニティーの創造を目指す。対象は児童、保護者、教職員、地域住民です。また、活動を通じてコミュニティーが日常的に持続するための人材発掘、育成も行う。
活動の内容
小学校に芸術家を「転校生」として紹介し、余裕教室をアトリエとして利用しながら、数週間にわたりその場を拠点とした創作活動を通じて児童、保護者、教職員、地域住民と交流する。交流は主に中休み、昼休み、給食時間、放課後に行われ、小学校運営・カリキュラムに負担がかからない状況で行われる。その中で、学校が地域交流の拠点として活用される意義や可能性を参加者と共有してゆく。また、当活動期間中にシンポジウムを通じて継続的なコミュニティーの存続を担う地域コーディネーター等の人材や地元企業、自治体を発掘し、事業運営に必要なノウハウの継承やネットワーク構築を行う。
実施場所・期間:
【札幌市内】北陽小:2014年8月20日~12月6日元町小:2014年9月16日~26日藻岩小:2014年11月4日~15日白楊小:2014年11月7日・19日山鼻小:2015年2月9日~20日
【苫小牧市内】樽前小、美園小、豊川小、拓進小: 2014年11月17日~12月28日
参加作家、参加人数
北陽小・白楊小/加賀城匡貴 500名
元町小/ダムダンライ 720名
藻岩小/藤木正則 400名
山鼻小/持田敦子 630名
樽前小、美園小、豊川小、拓進小/藤沢レオ 340名
総計2590名
他機関との連携
北陽小ミニ児童会館、北区役所、北まちづくりセンター、北地区町内会、渥美湯、北区役所、札幌サンプラザ、地下鉄麻生駅(北陽、白楊)、元町小ミニ児童会館(元町)、行啓通商店街、曙まちづくりセンター、中央区役所、(山鼻)
活動の効果
活動をきっかけに多くの保護者や地域住民が小学校に訪れ、出会い、交流するきっかけを作り出した。そして、その場に居合わせた人々が、アートを通じて様々な生き方や価値観に触れ、多様な個性を理解し自分自身を見直す場を生み出した。また、小学校を集いの場とすることで、児童が活動の主体となって地域住民を受け入れ交流する経験を通して、コミュニティーを作る一員としての喜びを実感し、地域間の新たなつながりができた。
活動の独自性
アーティストが小学校に滞在し創作活動を行うことで、そこに「集いの場」という新たな機能を生み出してゆく。小学校には多様な用途に使用できる複合施設としての条件が整っており、かつ地域住民の認知度や安心度も兼ね備えている。そういった状況に注目し、徒歩圏内における「地域コミュニティー」の場としての小学校に可能性を感じている。そこで、アート創作活動が展開する中で、新たな価値観や多様性を示し人々を引き寄せるきっかけを作り、人々が考え集い合う場を自然に作り出す。
総括
当活動の目的はアート創作活動を通じた「場づくり」である。しかしながら、アーティストが小学校にやってくるという仕組み上、多くの小学校やそこに関わる人たちに、作品制作の中でアートに触れる、いわゆるアートイベントをみんなで行う、といった目前で行われている行為がこの事業として捉えられていた。そして、事業実施者もまた、開催においての説明で、そのような分かりやすい部分を強調した伝え方をしてきた。それを踏まえ、今年度の活動は、そういった流れを見直そうという姿勢で取り組んだ。活動の最終的な到達点はどこなのか、そしてどんな場を作りたいのか、そのために何をする必要があるのか、事業の運営という枠組みにとらわれ形骸化しかけていた内容について考え、試行錯誤する場をあえて作り出した。共に活動を行うアーティストや受け入れ側である小学校と、活動をきっかけに話し合いを持ち、互いの理解を深めてきた。振り返ってみれば、まさにこれこそが我々が作り出したい「場」であった。まだ形の見えない「何か」を作り出す時にこそ、人と人が向き合い、悩み、知恵を出し、考え話し合う。それが、我々の目標とする「集い」の自然な姿なのだ。