活動の目的
少子高齢化による過疎化の進行が著しい市南部地域を舞台に、豊かな自然や地域に根差した生活・文化などをアートの対象と捉え、国内外の次代を担う若手アーティストと地域住民・企業・行政が連携しながら、地域文化の再生やコミュニティーの再構築など、継続的な地域活性化の礎を築くことを目的とする。
活動の内容
2014年3月21日から開幕した芸術祭について、廃校となった小学校などを展示会場として作品の公開を行った。また、来場者にアートを体験してもらうために、作品鑑賞だけではなくワークショップなどの体験型メニューの提供を行った。
さらに、小湊鐵道という公共交通機関を、新たな観光資源とし、動く劇場として実施した「指輪ホテル」の公演は、来場者に好評であった。
アート作品だけでなく、「食」という部分に着目し、アートを活用した食の提供や地元名産品のパッケージデザインを若手デザイナーに依頼するなど、経済振興に向けた新たな取り組みも実施した。
実施場所:千葉県市原市
参加作家、参加人数
芸術祭のコンセプトの一つに「アーティストの長期的な活動や異業種からの多様な人々の参加」を位置づけていたことから、40歳前後のアーティストを積極的に採用することで、長期的に関わることができるようにした。最終的には、13カ国66組のアーティストが参加し、来場者数は87,025人となった。
他機関との連携
千葉県や中房総観光推進ネットワーク協議会などに加盟している自治体、鉄道・バス会社、旅館組合、商工会議所などと連携して事業を実施した。
活動の効果
芸術祭を通し、様々な地域資源を現代アートを媒介にして活用し、新たな地域の魅力を生み出すことで、芸術祭を訪れた人々など交流人口の拡大が図れた。また、地域住民が自分の住む場所の歴史・文化・自然に誇りと愛着を取り戻すことができた。
活動の独自性
この芸術祭は、地域の活性化に向け、地方都市が抱える諸問題をアートの力で解決する「課題解決型芸術祭」として開催した。
特に、①廃校の活用、②小湊鐵道・乗物の活用、③豊かな自然と食、④アーティストの長期的な活動や異業種からの多様な人々の参加という四つのコンセプトで取り組むことにより、単なるイベントではなく、今後の本市のまちづくりにつなぐことができる芸術祭となった。
総括
3月から5月という年度切り替えの時期での開催により、平日の来場者が予想よりも大幅に少なく、会期全体でも目標来場者数20万人に対し、実際の来場者数は約8万7千人にとどまった。
しかしながら、廃校施設を活用した作品の展示や、里山や小湊鐵道を舞台にした作品、アートと食を組み合わせたプロジェクトなどを実施したことにより、会期中に実施した来場者アンケートでは、約9割の方に良いと回答していただき、芸術祭全体の評価は高かった。
そして、地域の人々が、来場者との交流の中で、地域の魅力を再認識することにより、地域の人々の自信や誇りにつながっている。
一方で、地域活性化を目的に、地域住民と協働で取り組むことについては、準備の遅れなどから十分な広報宣伝ができなかったことにより、多くの人を呼び込むことができなかったり、市民の理解や芸術祭に参画していただくことができなかったので、この部分は次回の開催に向けた課題であると認識している。