活動の目的
まちに住む人や活動家それぞれの自己実現の場や機会を増やすとともに、事業をきっかけに初めて寿町を訪れたアーティストや参加者にまちの魅力を感じてもらう。また、活動を通して日本が将来的に必要とする地域づくりの手法や共生の思想を提示する。
活動の内容
2010年より参加者のリレー形式で実施してきたアーティスト・イン・レジデンス「寿合宿」を公募制に切り替えて実施。公募期間は近隣で開催された国際展〈ヨコハマトリエンナーレ2014(ヨコトリ)〉会期に合わせ、一般の方も参加可能な公開勉強会を3回にわたって実施した後、公開プレゼンテーションによりアーティストを決定した。選出アーティスト・松枝昌宏による滞在制作プログラムは11月中に実施。今後の展開をふまえ「中間報告会」として発表イベントを行った。なお、ヨコトリ関連プログラムに地域住人の出演をコーディネート。〈ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014(パラトリ)〉招聘アーティストのリサーチにも協力。
実施場所:神奈川県横浜市中区寿町、松影町エリア
参加作家、参加人数
【勉強会】 ゲスト:竹本真紀、幸田千依、近藤昇、曽我部昌史、山本薫子/参加人数:18人
【プレゼンテーション】 ゲスト:上田假奈代、さめしまことえ、芹沢高志/参加人数:5人
【寿合宿】 選出作家:松枝昌宏/報告会参加人数:30人
【ヨコハマ・パラトリエンナーレリサーチ】 ミハイル・カリキス
他機関との連携
寿日雇労働組合の近藤昇氏に公開勉強会の講師を依頼。地域の簡易宿泊所を滞在拠点として活用。ヨコトリやパラトリの出演者コーディネートや地域リサーチで協力。
活動の効果
寿合宿では、はじめての公募により、関西出身の若手アーティストが活動に参加することになった。紹介による参加ではないため、これまでの活動を知る地域住人にとっても新鮮な機会となっている。
ヨコトリへの出演者コーディネートやパラトリのリサーチ協力については、これまでの活動の積み上げをふまえて自然なかたちで実現することができ、まちでのイベント実施や集客とはベクトルが異なる、新たなかたちの成果となった。
活動の独自性
ささやかながら7年目の活動となり、事務局スタッフや参加アーティストと地域の住人・団体との信頼関係構築が進んでいる。その中で、アーティストらの活動が地域に受け入れられることに加えて、地域住人がまちの外に出かけてアートイベントに参加するといったかたちでエンパワーメントされるようになってきた。まちに寄り添うアーティストらと、彼らの活動を面白がることのできる人々による、協奏的な風景がしばしば立ち現れている。
総括
ヨコトリ期間中に設定した公開勉強会やプレゼンテーションは、残念ながら集客面での相乗効果を生み出すことはできなかったが、ヨコトリやパラトリとの相互協力、関係者交流は行われた。3年に1度のトリエンナーレイヤーに展開する活動として、内部的には手応えがあったといえる。とはいえ「寿合宿」の参加者数が少なくなる、予定していた「コトブキ編集塾」がスタッフワークの都合上展開できないなど、対外発信につなげる活動には課題が残った。
また、活動のバリエーションが固定化してきているため、ここ数年増えてきている、高齢者等を対象にしたケア施設に対してアプローチするなど新たな展開を考えていきたい。