アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

第13回まつしろ現代美術フェスティバル

第13回まつしろ現代美術フェスティバル実行委員会

実施期間
2014年9月13日~23日

活動の目的

1.優れた美術鑑賞機会の提供 2.松代文化の(再)発見、発信 3.人的交流による地域コミュニティー活性および経済活性

活動の内容

コンセプトの土台となったのは、「地域と美術のよい関係づくり」であった。長野市郊外に位置する松代地区は自然豊かな町で、武家屋敷や戦争史跡が残る歴史の町でもある。ここで展示をするからには、地域のためになり、しかも美術の方も土地から力をもらえる仕組みづくりが重要であった。作家には、地域の人が楽しめてかつ集客力があり、しかも地元の方と交流できる作家を選んだ。会場は、作品の雰囲気を壊さず、魅力を引き立てるようなものを選んだ。来場者には、地区内の5会場で行われた展示を回ってもらい、町と展示を楽しんでいただけたと思う。また、会場のうち1カ所には、休憩所兼イベントスペースを設け、人的交流の場も演出できた。
実施場所:長野県長野市松代地区

参加作家、参加人数

作家:津田翔平、中山雄一郎、木村仁、村上慧、成澤果穂、池田拓馬、わたなべももこ、松本直樹、波田野州平(9名)
スタッフ:企画3名、顧問1名
ボランティアスタッフ:32名
来場者:3,337名

他機関との連携

協賛:サンケン工業株式会社
後援:長野市、長野市教育委員会、長野県
協力: エコール・ド・まつしろ倶楽部、NPO法人夢空間、松代地区商工会議所、信州大学現代美術研究会、サンカク社

活動の効果

アンケートの結果、来場者の6割強が20~30代で、長野市周辺の美術に興味がある若者層に、優れた美術作品を紹介できたと考えられる。また、全体の7割はフェスティバルのために来場しており、普段松代に目を向けることがなかった層に松代を巡るきっかけを提供したと思われる。さらに、地域住民の反応もよく、作家、スタッフと笑顔の絶えない交流が続いていた。

活動の独自性

美術だからこそできる地域貢献を模索した結果、歴史的な建築を展示することの利を最大限生かすことが、作品にも、地域にももっとも還元できるやり方であると考え、作品(作家)と会場の組み合わせを非常に重視して企画した。
会期中何人もの地域住民に「こうして見ると、この建物っておもしろいね」とお声がけいただいた。近すぎて気づかなかった地域の魅力をこの機に再発見していただけたと考えている。

総括

これまで12回続いてきたフェスティバルであったが、作家が中心に回してきたこともあって、展示場所との相性や、地域との関わりができていなかった面があった。今回その部分が改善できて、美術が地域に役立つ可能性を地元の方にも認知していただけたと思う。
特に、外部の作家が地域の建物と自分の作品の関係に真摯に向き合ってくれたからこそできた企画であったと思う。一方で、資金面では大変厳しいものがあり、来年度も行政や地元企業とタイアップすることは難しそうである。美術の公共的役割については、経済効果以外の説明方法を模索していかなければならない。