活動の目的
集落の豊かな自然や生活文化を下地にした歴史的資産等の既存価値を、現代アートを触媒に顕在化させ文化度を向上。地域文化継承を図り、引き続き健全な集落運営を目指す。また、同エリアの五斗長垣内遺跡整備も進むため、集客における相乗効果、事業運営の効率化も狙い、賑わいのある文化教育施設を目指す。
活動の内容
国内アーティスト2名による作品づくり(山の竹材を使用し、風によって音を発するインドネシアの楽器であるスナリを模した野外音響彫刻作品と、五斗長垣内遺跡内に32体のスピーカーを吊るし、野外音響彫刻作品から発生する音を編集した音響作品の二つからなるサウンドインスタレーション/森の中で子ども達と共に石ころや、葉の葉脈といった<もりのかたち>を観察し、和紙に描いた協働の作品)と、地元高齢者から地域にある祭事についてのヒアリングを行った。
実施場所:淡路市五斗長地区五斗長垣内遺跡周辺
参加作家、参加人数
国内招聘アーティスト2名:フィールドレコーダー/サウンドアーティストの笹島裕樹氏、島内在住の絵描きfuuyanm(ふうやん)が参加。お披露目会には主に地元の方が集まり総勢50名ほどで行った。
他機関との連携
淡路市教育委員会社会教育課、五斗長女性部、五斗長老人会、五斗長営農などと連携。
活動の効果
水害の影響で、当初予定していた森の中に設置することができなくなり、地元にとっても棚田が美しかった記憶的場所、弥生時代後半の鉄器工房が存在したという文化的価値のある五斗長垣内遺跡と垣内遺跡拠点施設内への設置が確定。垣内遺跡は村の集落の隣にあり、畑仕事へ行く途中、散歩の途中に確認でき、人と作品がさらに近いものとなった。地元から作品について話しかけられるなど、関心がさらに高まっていくことを感じている。
活動の独自性
垣内遺跡(国史跡)内の作品設置:垣内遺跡内は2012年の9月に国史跡に指定された。史跡をイベント会場にするためには数々の問題をクリアしないといけないが、淡路市や地元の方のご協力により今回は期間限定の設置が可能となり(3月8日~3月31日)、人が行き交う場としての史跡の新しい活用法の一つとして捉えている。
総括
五斗長垣内遺跡内の作品展示により、住民との距離がさらに近づき、良くも悪くも作品に関心を持ってくれていることが顕著に見えてきた。2011年5月より遺跡による町おこしに取り組む「五斗長まちづくり協議会(当実行委員会メンバー)」が遺跡をPRする拠点として施設を完成させ、中にあるカフェを運営している。このように関連施設を作品展示場所にすることで、アートを触媒に人が集い、文化の周知とカフェ運営の助けに貢献できた。一方、野外音響彫刻作品は、微量の音が発生する作品だったが、展示期間中強風と雨にあい、作品から発生する音で展示場所から一番近い家の方より騒音の苦情が入った。アーティストとも話し合い、3日後に作品撤去、地元への謝罪と説明を行い、素早い対応がとれたので大事には至らず、その方も納得した形で終わらせることができた。地元からの要望である、祭事について十分なヒアリングができず、思うようなテキストができなかった。これについて、来期も続けていく予定をしており、丁寧な掘り起こしをしていきたい。