アートによる地域振興助成成果報告アーカイブ

鳥の劇場2014年度プログラム

特定非営利活動法人 鳥の劇場

実施期間
2014年4月~2015年3月

活動の目的

2014年度の活動テーマを「劇場、未来に向けた共感の場としての。時間を越えて、国を越えて、障がいを越えて、年齢を越えて。」とし、子どもから大人まで楽しめる作品や、社会性の強い作品を上演するだけでなく、多様な人々が出会い、共に学び共感できる多彩なプログラムを実践する。

活動の内容

■鳥の劇場による上演
□『セロ弾きのゴーシュ』原作:宮沢賢治 作曲:新倉健 演出:中島諒人
『すてきな三にんぐみ』原作:トミー・アンゲラー 構成・演出:中島諒人
4月25日(金)~5月3日(土・祝)
□にほんの古事記『古事記』/『古事記は歌ふ』
『古事記』構成・演出:中島諒人
『古事記は歌ふ』作:永山智行(劇団こふく劇場) 演出:中島諒人
6月27日(金)~7月6日(日)
□『クルミわり人形とねずみの王さま』
作:E.T.A.ホフマン 演出:中島諒人 イイダ・ヴァンタヤ
12月23日(火・祝)~28日(日)
□『戦争で死ねなかったお父さんのために』
作:つかこうへい 演出:中島諒人
3月13日(金)~22日(日)
■子どものための「小鳥の学校」
実施期間:7月21日(月・祝)~3月29日(日)
発表公演:『マクベス』(原作:W.シェイクスピア)
3月28日(土)、29日(日)
実施場所:鳥の劇場(鳥取県鳥取市鹿野町鹿野)ほか

参加作家、参加人数

■鳥の劇場劇団員以外の主要参加アーティスト
・榊原毅(俳優)『すてきな三にんぐみ』出演
・永山智行(劇作家/演出家/劇団こふく劇場代表)
『古事記は歌ふ』脚本執筆
・河内哲二郎(俳優)『古事記は歌ふ』出演
・カミイケタクヤ(美術家)『戦争で死ねなかったお父さんのために』舞台監督、舞台美術製作
■2014年度プログラム来場者数:3,784人

他機関との連携

■公益財団法人宮崎県立芸術劇場
6月に上演した『古事記は歌ふ』の脚本を、宮崎県立芸術劇場演劇ディレクター永山智行氏が書きおろす。また12月には同作品を宮崎県立芸術劇場にて上演した。

活動の効果

・『すてきな三にんぐみ』や『クルミわり人形~』の上演では、家族連れの割合が多く見られ、不朽的な作品の創作と上演を継続的に行ってきた成果の現れともいえる。
・新たな俳優との共演や劇作家との作品制作を通じて、創作の幅を広げることができた。
・『にほんの古事記』では、演劇作品を通じて地域の魅力を再発見することができ、再演を重ねながら新たな観光資源としても発展させていきたい。

活動の独自性

鳥の劇場の最も大きな特徴は、劇団が運営する劇場という点であり、上質な舞台作品の創作と上演を主軸としながら、地域の文化拠点としての劇場創りにも取り組んでいる。8年間の活動期間を経て、国内外のアーティストとの交流や共同製作の機会が増えており、2014年度は演奏家との音楽劇にも挑戦するなど、試行錯誤を繰り返しながら、新たな観客に出会う機会を積極的に設けている。
これも劇場という作品創りに集中して取り組める場所があるからこそ、実現が可能となる。鳥の劇場が全国的に開かれた“創る場所”として広く認知されることで、より多くのアーティストとの出会いが生まれ、さらなるネットワークの構築に繋げたい。

総括

・戦争や神話など、演劇を通じて現在と過去との関係をあらためて捉えなおす作品にも挑むことができた。そして、劇場で観客とともに考え、それぞれの思いを共有する貴重な時間を持つことができた。
・鳥の劇場プロデュースのもと、障がいのある人とない人が共に創りあげた舞台作品『三人姉妹』(原作:A.チェーホフ)を「第14回全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会」で上演し、舞台芸術の可能性と我々の活動の意義を大いに感じ取ることができた。
・2014年度で5回目の実施となる「小鳥の学校」は、県内から15人の受講生が参加した。受講生は地域も年齢も様々であるが、1年をかけて互いの関係性を深めることにより、他者の個性や価値観を認め合う尊さを学んだ。また講座では子どもたちの学びのプロセスを大切にするために、講師と鳥の劇場スタッフとの連携を密にし、サポート体制を強化した。これらのノウハウを、今後はさらにアウトリーチ活動や教育・福祉の現場でも活かしていきたい。