活動の目的
枝光まちなか芸術祭は、高齢化の進む過疎地域である北九州市八幡東区枝光本町を、「街中に芸術の溢れる町」というブランディングによって、活性化につながるきっかけ作りを目的とする。衣食住に加え娯楽もある街であるというイメージを定着させ、人口増大とテナント誘致等も視野に入れた地域の1コンテンツとなる芸術祭である。
活動の内容
日本全国から集ったパフォーマーや作家が、かつて官営八幡製鉄所のお膝元で一大隆盛を極めた八幡東区枝光本町を舞台にワークショップの開催や作品の発表を行う。現在では当時の面影も無く過疎化が進む商店街に、かつての盛り上がりを舞台芸術やものづくりで再現する。商店街との協力体制を築き、商店街内でのパフォーマンスとそこに観客を滞留させるものづくり作家のマーケットを開催。ダンスカンパニーは枝光本町商店街をテーマにした作品をワークショップ参加者と創作し、劇団は作品の上演を「枝光本町商店街アイアンシアター」で上演、ものづくり作家はマーケット開催により閉じられたシャッターがまだ開いていた当時を再現する。
実施場所:福岡県北九州市枝光本町商店街とその近隣施設
参加作家、参加人数
■参加アーティスト
・すんぷちょ
・短距離男道ミサイル
・Baobab
・DEVIATE.CO
・Y_ukio suzuki
・6-dim+
■総来場者数
約700名
他機関との連携
枝光本町商店街内の店舗組合である「枝光本町商店組合連合会」と連携することにより、商店街内の様々な場所での作品上演が可能となり、また商店街での上演にあたり様々な協力体制を築くことができた。
活動の効果
地域外の方々に商店街の素敵な部分をアピールできた。
商店街との連携を構築することにより、お客さまのいる場面で、商店街の方々が積極的に企画に参画し、共に運営している姿を見せ、商店街の持つ温かさや一体感、また、ここでしかできないものであることをしっかりアピールすることができた。
商店街の方々に対しても今回のような方法で交流人口を増やすことが可能であり、場所の価値を高めることができるということを認識していただけた。
活動の独自性
一般的なアートプロジェクトとは異なり「アートが地域に何ができるのか?』という側面からではなく、「地域活動の一環としてのアート」という切り口から始まり、専門性を持った人々ではなく地域側の人間がプロジェクトを推進することにより、アートの文脈でしか説明できないプロジェクトではなく、今までアートに触れたことのない人々にもアプローチしやすく馴染みやすいものになった。
また、アーティスト同士も短い期間で共に芸術祭に参加することにより、一体感が生まれ、深い交流や次年度の開催に向けたアイディア交換なども行われ、共に「枝光を楽しむ」といった意思共有をすることができたことが他にない独自性だと考える。
総括
第一回目の開催となった「枝光まちなか芸術祭」は、当初の予想以上の盛り上がりを見せた。
日本各地で活躍するアーティストが過疎地域に集まり商店街の中で作品を発表したり、参加者と一緒に作品を作るといったアートプロジェクトは北九州ではほかに例を見ず、目新しさも相まって好評を博した。さらに、「アートが地域にできること」といった文脈ではなく「地域活動の一環としてのアートプロジェクト」といった側面から発足した枝光まちなか芸術祭は、アートが何かを押し付けるのではなく、この地域だからこそ実現可能で有意義な形を発見することができた。また、アーティスト同士が「枝光を楽しむ」ために共にできることはなにか?といったことを考えるようになり、ただ作品を発表する場としての芸術祭ではなく、枝光という地域でしかできないアートプロジェクトになっていく兆しを見ることができた。
今後この形にさらなる磨きをかけ、持続可能な地域でのアートプロジェクトを目指し活動を続けていく。